明店あきだな)” の例文
何事かと聞けば隣長屋に明店あきだなありしに突然暮方くれがた二人の男来りてその家の建具類を持ち去る、大方おおかた家作主の雇いしものならんと人も疑わざりしを
良夜 (新字新仮名) / 饗庭篁村(著)
又「両隣は明店あきだなで、あとは皆かせにんばかりだから、十時を打つときに寝るものばかりだから、安心してまア一杯りたまえ、寒い時分だから」
そろへて申す樣なにとも恐入おそれいり候事ながら貴院きゐん先達せんだつて仰聞られ候には聖護院しやうごゐん宮樣の御配下ごはいかにて天一坊樣の御旅館りよくわんとばかり故庄藏御世話せわ申三郎兵衞の明店あきだな御用立差上候ひしに只今御玄關おげんくわん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
する内に火は※々えん/\と燃え移り、又作のうちは一杯の火に成りましたが、此の時隣りの明店あきだなにいた清次はおおいに驚き、まご/\しては焼け死ぬから
だが死んだ親父の位牌いへいに対しても済まねえから、うちしきいまたがせることは出来ねえ義理だから、裏の明店あきだなへ入れて置き、食物くいものだけは日々にち/\送ってくれべい
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
小舞こまいかきの竹は勝手を知っていますから、明店あきだな上総戸かずさどを明けて中へ這入はいり、こもき、睾丸火鉢きんたまひばちを入れ、坐蒲団ざぶとんを布きましたから、其の上に清次は胡座あぐらをかき。
明店あきだなか何かを捜す気に成っている位なものでございますが、萩原新三郎はあのお露どのと更にいやらしい事は致しませんでしたが、実に枕をも並べて一ツ寝でも致したごとく思い詰めましたが
きやしてわし此間こねえだ使つかいけえりに、本所相生町を通ると、其処そこに誠に明店あきだなが有って、間口が三間半、奥行六間で小さい穴蔵が一つ有りやんして、めえ河岸附かしつきに小さい河岸納屋が有りやすから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)