旅人たびゞと)” の例文
こんなうるさいはいでも、道連みちづれとなればなつかしくおもはれたかして、木曾きそはいのことを發句ほつくんだむかし旅人たびゞともありましたつけ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
さきとなり、はてあひだへだてゝても、みちまよふた旅人たびゞと嬢様ぢやうさまおもふまゝはツといふ呼吸いきへんずるわ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこへ追つて来たおくまは岩に片足をかけてねらひさだめてきがねを引くとズドーンとこだましてつゝをはなれた弾丸たま旅人たびゞとかみをかすつてむかうの岩角いはかどにポーンとあたりました。
これはたん旅人たびゞと面白おもしろおもはせるためにまうけられたものではなくて、だん/\文明ぶんめいすゝむにしたがひ、むかし風俗ふうぞく面白おもしろ建築物けんちくぶつ次第しだいほろんでくのを保存ほぞんするために出來できたものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かっしても盗泉とうせんの水を飲まず位の事は心得ているではないか、何ういう訳で人の物をる気になった、手前とは知らずナ、此の角右衞門が旅人たびゞとを助けようとして打留めたのであるぞ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)