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シーツ
ふりがな文庫
“
敷布
(
シーツ
)” の例文
彼は
敷布
(
シーツ
)
のふちを
把
(
と
)
って引きあげると、死人の全身はあらわれた。死体はすべて赤裸で、蝋燭のひかりのもとに粘土色に黄いろく見えた。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
またある時は、あの白い
掩
(
おお
)
いの下で彼女が足を動かして、波打った長い
敷布
(
シーツ
)
のひだを
幽
(
かす
)
かに崩したようにさえ思われました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
秋は洗ひたての
敷布
(
シーツ
)
の樣に快かつた。太郎は第一の街で夏服を質に入れ、第二の街で牛肉を食つた。微醉して街の上へ出ると正午のドンが鳴つた。
太郎と街
(旧字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
敷布
(
シーツ
)
もない薄い敷蒲團に海老のやうに縮まつてゐる姿が可愛らしかつた。夜が更けるにつれて、雨の音は激しくなつた。
雨
(旧字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
下へおりて見ると、玄關脇の小部屋でかみさんは
敷布
(
シーツ
)
を疊んでゐた。亭主の姿は見えなかつた。もう入營したのだらう。
大戦脱出記
(旧字旧仮名)
/
野上豊一郎
(著)
▼ もっと見る
敷布
(
シーツ
)
の先を伝わって、雨滴れの合間を縫って……そうしてその時も、地蟲の
嗄
(
しわが
)
れたような声を聴いたのである。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
例の
忍返
(
しのびがえ
)
しを打ちつけたような髪の毛で
敷布
(
シーツ
)
をずたずたに裂きそうにしながら、蒲団の上へぬっと起き上った。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
が、ヴェリチャーニノフの二度目の大喝にあうと、急にそそくさと全速力で仕度にとりかかり、卓子を横へ片寄せ、ふうふういいながら
敷布
(
シーツ
)
をひろげて敷きはじめた。
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
敷布
(
シーツ
)
が落ちた。『イワーシ!』とピドールカが叫んで駈け寄つた。すると
幻影
(
まぼろし
)
は足の先から頭の天辺まで、全身血まみれになつて、家ぢゆうを赤い光りで照らした……。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:04 イワン・クパーラの前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
二階の北側の一番奥の部屋は、客用の
羽根蒲団
(
クッション
)
、
敷布
(
シーツ
)
、不用の
絨毯
(
じゅうたん
)
等の置き場として、現在用いられている。しょっちゅう出し入れするために、鍵がかけられていない。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それをお鶴は暖かな床の上に敷いて、その上に白い
敷布
(
シーツ
)
を掛けながら
灯火
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
大地主は
敷布
(
シーツ
)
のように蒼白な顔をして坐っていて、自分がみんなをこんな災難に陥れたことを考えていた。善良な人だ! 六人の前甲板の水夫の中の一人も大地主と同じくらいの顔色をしていた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
晩年には益々
昂
(
こう
)
じて舶来の織出し模様の
敷布
(
シーツ
)
を買って来て、中央に穴を明けてスッポリ
被
(
かぶ
)
り、左右の腕に垂れた個処を
袖形
(
そでがた
)
に
裁
(
た
)
って縫いつけ、
恰
(
まる
)
で
酸漿
(
ほおずき
)
のお化けのような
服装
(
なり
)
をしていた事があった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
レエヌは、
焦
(
いら
)
だって、
敷布
(
シーツ
)
の端をもみくしゃにしながら
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その男というのは、顔を仰向けて、半身を
敷布
(
シーツ
)
におおわれて、両腕をからだのそばに伸ばして、テーブルの上に横たわっていた。彼は死んでいるのである。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
ほんとうにお姉さまは、末起ちゃんのために二年越しの
敷布
(
シーツ
)
のうえがすこしも淋しくはありません。
方子と末起
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
三発の弾痕から鮮血を
雪白
(
せっぱく
)
の
敷布
(
シーツ
)
に
迸
(
ほとばし
)
らせて、まったく一糸
纒
(
まと
)
わぬ裸体のままで
仰臥
(
ぎょうが
)
していたのには、思わず面を背けずにはいられなかったと立会いの警官たちも述べていた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
たとへどんなことがあらうとも、人間の、ましてや罪もない子供の首を斬り落すなどといふことがどうして出来るものか! 彼は赫つとなつて子供の頭に巻かれた
敷布
(
シーツ
)
を引きはいだ。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:04 イワン・クパーラの前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
古い陶器や
白鑞
(
ピューター
)
の食器のほかに珍らしい革の徳利(牧場用)が天井から下っていたり、二階の寝室には彫のある寝台に「万年
敷布
(
シーツ
)
」がまだ昔のまま掛けられてあったり、今から見ると質素ではあるが
シェイクスピアの郷里
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
そうら
敷布
(
シーツ
)
、それから夜着
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そのテーブルの上には、かの
掩
(
おお
)
われたる死体が、
敷布
(
シーツ
)
の下に行儀よく置かれてあった。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
『駄目なこつちやよ、お主が人間の血を手に入れるまでは、その
黄金
(
かね
)
を見る訳にはいかんのぢや!』さう言つて
妖女
(
ウェーヂマ
)
は、彼の前へ白い
敷布
(
シーツ
)
にくるまれた六つぐらゐの子供をつれて来て
ディカーニカ近郷夜話 前篇:04 イワン・クパーラの前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
部屋の真ん中には、真新しい
敷布
(
シーツ
)
に
掩
(
おお
)
われた大きな
寝台
(
ベッド
)
が据えられて、高い天井や大きな家具、調度類……
皺
(
しわ
)
くちゃになった
襯衣
(
シャツ
)
のまま、横になるのが
憚
(
はばか
)
られるような、豪華さでした。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
今も今とて
噂
(
うわさ
)
したマヌエラ嬢だった。彼女は、真白な洗いたての
敷布
(
シーツ
)
のようにどこからどこまで清潔な感じのする娘だ。座間とは婚約の仲、また人道愛の仕事の上でもかたく結びついている。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
“敷布”の意味
《名詞》
敷布団の上に敷く布。
(出典:Wiktionary)
敷
常用漢字
中学
部首:⽁
15画
布
常用漢字
小5
部首:⼱
5画
“敷布”で始まる語句
敷布団