敬礼けいれい)” の例文
旧字:敬禮
巡査じゅんさが大またに出て行くと、親方はこしをほとんど地べたにつくほどに曲げて、からかいづら敬礼けいれいしていた。そして芝居しばいつづけてえんぜられた。
まじめくさった様子で、芝居しばいで見た通り、三拍子曲ミニュエットふしにあわせて、テーブルのうえにかかっているベートーヴェンの肖像しょうぞうに向かい、ダンスの足どりや敬礼けいれいをやっていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
侯爵こうしゃくはそのとき、うやうやしく敬礼けいれいしたのち、王様の申し出された名誉めいよを、よろこんで、お受けすることにしました。そうしてその日、さっそくお姫さまと結婚しました。
第三十条 日本臣民ハ相当ノ敬礼けいれいヲ守リ別ニ定ムル所ノ規程ニ従ヒ請願せいがんスコトヲ
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
モスクワへってから、ミハイル、アウエリヤヌイチは肩章けんしょう軍服ぐんぷくに、赤線あかすじはいったズボンを穿いてまちあるくにも、軍帽ぐんぼうかぶり、軍人ぐんじん外套がいとうた。兵卒へいそつかれ敬礼けいれいをする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこにいた警部が、挙手きょしゅ敬礼けいれいをとって、自信ありげに答えた。
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
敬礼けいれいがすむとかれは仲間なかまのほうを向いて、かたっぽの前足でやはり胸をおさえながら、片足かたあしをさしのべて、みんなそばにるように合図をした。
この日は巡査じゅんさ背中せなかを向けて行ってしまった。親方はぼうしを手に持ってこしを曲げたまま、にやにやしながら、はたいて退しりぞてきに向かって敬礼けいれいした。