ダース)” の例文
コーヒー茶碗を一ダースほどブッコワしたのは正しくオレだけれども、然し、これだけの大家に、代りがないとは、おかしいじゃないか。
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
、一ダース寄越したんだよ。僕は癪に觸つたから、御好意は有難いが此代金も孤兒院の設立資金に入れて貰ひたいツて返してやつたんだ。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その時、小函を一ダースずつ紙に包み、更に大きい木箱に詰めている包装で、ふいに、シユーッシユーッと空気を斬る音響が起った。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
絹手巾はその輸出かつて隆盛を極め、その年額百万ダースその原価ほとんど三百余万円にのぼり我が国産中実に重要の地位を占めたる者なりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
鋭いくぼんだ顔が、白髪の中から覗き出て、右腕には少なくとも一ダースはあろうと思われるほどの、貴重な書籍をかかえていた。
でも、私が日本を出る時、私のスートケースの一個は全く浴衣ゆかたのねまきと一ダース猿股さるまたとシャツによって埋められていた。
と言つて、麦酒ビールを半ダース持出して来た。剽軽な英吉利兵は麦酒壜を両腋に抱へ込むで、自分の塹壕へ転げ込むださうだ。
こんなに見事なものが一ダースそっくりあるのは非常に珍しいとあって、その家でも大いに大事にしていたところが、何かの粗相そそうで一枚こわしてしまった。
「森下君、お客さんが見えたから、ボーイにいうてな、ビールを二ダースばかり冷やさせてくれんか」
ノア (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そのうちに「おまえ、店へ帰っても、喋るんじゃないぞ。いいか、途中でこわれたと云っとくんだから」と云って、四ダース入りの箱をコジ開け、中の白酒を二本ほどラッパ飲みにしてしまった。
鞄の隅には小さな箱があり、その中に小さな手巾ハンケチが一ダース入っていました。
「よろし、そんなら一ダースばかり持つて來まつさ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
ダース、一ダース、落武者共のような愚痴を並べて
、一ダース寄越したんだよ。僕は癪に触つたから、御好意は有難いが此代金も孤児院の設立資金に入れて貰ひたいツて返してやつたんだ。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
握拳にぎりごし大の、それでいて妙に年寄りじみた赤ぐろい顔が、一ダースほどずらりと突きつけられていた。
貿易新報の新年号特別募集というのに応じて、ぼくの句が一等に推され、四ダース入の麦酒ビール箱を貰ったときは途方にくれた。又、松浦為王氏の寿町の自宅で小集のあったとき、行ってみたこともある。
姐さん、お酒一ダース程貰ふて來とくんなはれ。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
高ければ高いほど金の甲斐がいがあるという連中ばかり来るところなんだから、その法外さが随一なのは無理もないとして、近い例が、倫敦ロンドンで一ダース入り一箱十ペンス半のXマス爆烈菓子が
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
ダースの半ばを満たそうというんだから、言うまでもなくすべての点で完全に他とおなじでなければ、新たに大金を投じて一枚焼かせる意味をなさないから、躍起になってあちこち照会した末