打毀ぶちこわ)” の例文
真夜中に泊めてくれと云って時々戸を叩くでがす、さア明けねえと打毀ぶちこわすぞなんておどしますからな、其の時にゃア此の鉄砲を一発やるだね
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こんなものを残しておくのはよくないから、いっそ打毀ぶちこわして焚いてしまおうと父が言いますと、もともと十五銭で買ったものですから、孝平にも異存はありません。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
職人任せに致しますと、銅像とのウツリが悪くなって、何もかも打毀ぶちこわしになるおそれがありますから……
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ソレに遠慮会釈も糸瓜へちまるものか、颯々さっさ打毀ぶちこわしてれ。ただ此処で困るのは、たれこれを打毀すか、ソレに当惑して居る。乃公等おれらは自分でその先棒さきぼうになろうとは思わぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
言葉の行掛ゆきがゝりからアはいうものゝよもやと思った長二が、遠慮もなく清兵衛の丹誠を尽した棚を打毀ぶちこわしました。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
また、鳥打帽の男の話によれば、磯貝の紙入れはふところからつかみ出して、引裂いて大地へ投げ捨ててありしが、在中の百余円はそのままなり。金時計は石に叩きつけて打毀ぶちこわしてあり。
慈悲心鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
恒「なに此の野郎、ふざけて居やがる、此の才槌せえづちで棚を毀したから己が此の野郎の頭を打毀ぶちこわしてやるんだ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なに指ぐらい打切ぶちきられたって、たけえ給金を取って命いつなごう、なに指い切ったってはア命には障らねえからって、得心して奉公に来て、つい粗相で皿を打毀ぶちこわすと
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
打毀ぶちこわして新規に仕直すなどいう仕儀で、誠にわたしもじれッたくって、漸くまア此の位出来ましたが、又材木などが差支さしつかえて…まア彼方あちらへお出で遊ばせ、此処こゝが這入り口で
わしア気も違いません、もとより貴方あんたさまに斬られて死ぬ覚悟で、承知して大事でえじのお皿を悉皆みんな打毀ぶちこわしました、もし旦那さま、私ア生国もとおし行田ぎょうだの在で生れた者でありやすが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
助「見事か知らないが、己には気にくわない仏壇だから打毀ぶちこわすのだ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それを貴方が守ってるから、此の村ばっかりじゃアない、近郷の者までが貴方の事を何と云う、あゝ東山は偉い豪士ごうしだが、いえに伝わる大事でえじ宝物たからものだって、それを打毀ぶちこわせば指い切るの足い切るのって
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)