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手隙
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てすき
ふりがな文庫
“
手隙
(
てすき
)” の例文
翌朝
(
よくあさ
)
は女が膳を運んで来たが、
卒
(
いざ
)
となると何となく
気怯
(
きおく
)
れがして、今は
忙
(
いそが
)
しそうだから、昼の
手隙
(
てすき
)
の時にしよう、という気になる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
晩方少し
手隙
(
てすき
)
になってから、新吉は
質素
(
じみ
)
な晴れ着を着て、古い鳥打帽を被り、店をお作と小僧とに
托
(
あず
)
けて、和泉屋へ行くと言って
宅
(
うち
)
を出た。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
一日や二日は無事であったが三日目の午後、
手隙
(
てすき
)
を見て例の通り裏の畑の隅の便所の脇で夢中に読んでいると、祖母がいつものように足音を忍ばせながらやって来たらしかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「あの若衆に一ぱいあげたいから、
手隙
(
てすき
)
になったらここへ来るように言っておくれ」
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
道中記を
記
(
つ
)
けるも
懶
(
ものう
)
し、
入
(
い
)
る時帳場で声を懸けたのも、座敷へ案内をしたのも、浴衣を持って来たのも、お背中を流しましょうと言ったのも、皆
手隙
(
てすき
)
と見えて、一人々々
入交
(
いれかわ
)
ったが、根津
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
それは
幸野楳嶺
(
かうのばいれい
)
の
幅
(
ふく
)
を持合せて居る男が、一度
手隙
(
てすき
)
にその画を鑑定して貰ひ度いと言つて来たから起きた事なので、
箔
(
はく
)
をつけるといふ事は、滅多に人に会はない事だと思つてゐる栖鳳氏も
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ようやく第二の法王の
具足戒
(
ぐそくかい
)
が済み役人達も
手隙
(
てすき
)
になり私のひそかに立去った事を知ったところで、どの方面へ逃げたろうかと始めて
穿鑿
(
せんさく
)
に掛ってこちらへ
追手
(
おって
)
を向けるということになるのでしょう。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
憤然
(
やっき
)
となって二日二晩も考えた末、又一策を案じ出して、今度は昼のお糸さんの
手隙
(
てすき
)
の時に、何とか
好加減
(
いいかげん
)
な口実を設けて酒を命じた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
婚礼
沙汰
(
ざた
)
が初まってから、毎日のように来ては養父母と
内密
(
ないしょ
)
で
談
(
はなし
)
をしていた青柳は、その当日も
手隙
(
てすき
)
を見てはやって来て、床の間に古風な島台を飾りつけたり
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この間まで
居
(
お
)
りました、山田の新町の姉さんが、朝と昼と、
手隙
(
てすき
)
な時は晩方も、日に三度ずつも、あの
噛
(
か
)
んで含めて、胸を割って刻込むように教えて下すったんでございますけれど、自分でも悲しい。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そんなものを、小野田は店の仕事の
手隙
(
てすき
)
に縫うことにしていたが、川西はそれを余り
悦
(
よろこ
)
ばないのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「少し
手隙
(
てすき
)
になったら、一度お作を訪ねて、奴にも
悦
(
よろこ
)
ばしてやろう。」などと考えた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
少しお話したいこともあるから、
手隙
(
てすき
)
のおり来てくれないかという親展書であった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
先代の時から続いてやっている、確な人に委せて、監督させてある北海道の方へも、東京での販路拡張の
手隙
(
てすき
)
には、年に一度くらいは行ってみなければならぬことも話して聞かせた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「阿母さんの
手隙
(
てすき
)
に洗濯や縫直しをしてもらいたいものがありますから。」
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
隙
常用漢字
中学
部首:⾩
13画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭