手腕しゆわん)” の例文
艦長松島海軍大佐かんちやうまつしまかいぐんたいさ號令がうれいはいよ/\澄渡すみわたつて司令塔しれいたふたかく、舵樓だらうには神變しんぺん不可思議ふかしぎ手腕しゆわんあり。二千八百とん巡洋艦じゆんやうかん操縱さうじゆう自在じざい
其の動機は事業の失敗しつぱいで、奈何いか辛辣しんらつ手腕しゆわんも、一度逆運ぎやくうんに向ツては、それこそなたの力を苧売おがらで防ぐ有様ありさまであつた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
小六ころく名義めいぎ保管ほくわんされべき財産ざいさんは、不幸ふかうにして、叔父をぢ手腕しゆわんで、すぐ神田かんだにぎやかな表通おもてどほりの家屋かをく變形へんけいした。さうして、まだ保險ほけんけないうちに、火事くわじけて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
里見弴さんの作品を讀んで、一番感心かんしんするのは、その心理解剖しんりかいばう手腕しゆわんです。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
たとへ非凡ひぼん手腕しゆわんありとも艦員かんゐんならぬものがほううごかし、じうはなこと出來できないのである。
さうして舞台に於ける芸術の意味を、役者の手腕しゆわんに就てのみ用ひべきものと狭義に解釈してゐた。だから梅子とは大いにはなしつた。時々とき/″\かほ見合みあはして、黒人くらうとの様な批評を加へて、互に感心してゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)