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手刺
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てさし
其扱きあげられた
肩は
衣物の
皴で
少し
張つて
身體を
確乎とさせて
見せる。
現れた
腕には
紺の
手刺が
穿たれてある。
漸く
暑い
日を
厭うておつぎは
白い
菅笠を
戴いた。
おつぎは
白い
襦袢の
襟を
覗かせて、
單衣の
胸をきちんと
合せて、さうして
襷と
手刺とで
身を
堅めて、
暑いのにも
拘らず
女の
節制を
失はなかつた。おつぎは
蕎麥の
手を
放して
小走りに
驅けて
行つた。