意氣地いきぢ)” の例文
新字:意気地
どうぞお慈悲に御料簡と、あづま育ちの張りも拔け、戀の意氣地いきぢに身を碎く、こゝろぞ思ひやられたり。
近松半二の死 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
扨又彼の新藤市之丞當時紙屑屋長八は或日女房お梅に向ひ此程文右衞門の留守中るすちう廿五兩の金を煙草盆たばこぼんの中へ置ては來りしが今日あたりはつかはれしならんか武士の意氣地いきぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御自分の口から出てゆけとは仰しやりませぬけれど私が此樣な意久地なしで太郎の可愛さに氣が引かれ、何うでも御詞に異背せず唯々はい/\と御小言を聞いて居りますれば、張も意氣地いきぢもないうたらの奴
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はうぜんと思ひ一人の娘を新吉原江戸町一丁目玉屋山三郎方へ身の代金しろきん五十兩にて年季ねんきつとめに遣はし右五十兩の中二十五兩を大橋の方へ持參仕り候處文右衛門儀武士ぶし意氣地いきぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御自分ごじぶんくちからてゆけとはおつしやりませぬけれどわたし此樣このやう意久地いくぢなしで太郎たらう可愛かわゆさにかれ、うでも御詞おことば異背いはいせず唯々はい/\小言こごといてりますれば、はり意氣地いきぢもないうたらのやつ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うしなはるゝも口惜くちをしく夫も金子なければ仕方もなし眼前がんぜん此所にあるかねを武士の意氣地いきぢひながら遣ふ事さへならぬとははてどうしたらよからんやと女房お政はくよ/\と女心の一すぢに昔しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)