恋慕れんぼ)” の例文
旧字:戀慕
これもばあやのお峰の話なんですがネ。そして彼が博士の家を出るようになった訳は、どうもウララ夫人によこしまな恋慕れんぼをしたためだという話です
人造人間事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その頃国家老くにがろうにやはり才三くらいな年恰好としかっこうなせがれが有って、このせがれがまた帯刀の娘に恋慕れんぼして、是非貰いたいと聞き合せて見るともう才三方へ約束が出来たあとだ。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
俗曲の『恋慕れんぼ』とは違いまして、『鈴慕』と申しますのは、御承知でもございましょうが、普化禅師ふけぜんじ遷化せんげなさる時の鈴の音に合せた秘曲なんでございます、人間界から
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
殿様が恋慕れんぼしていた腰元こしもとが不義をして、対手あいての若侍と並んで刑に処せられようとする三角恋愛に、悪びれずにお手打ちになろうとする女と、助かりたさと恐怖に、目のくらんでいる若侍と
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
遂に又お園に恋慕れんぼを云いかけまするという怪談のお話、一寸一息ひといききまして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
だが、一方彼の烈しい恋慕れんぼの情は、芙蓉の舞台姿を見た位で、いやされる訳はなく、そうして彼女を眺めれば眺める程、彼の満たされぬ慾望は、いやましに、深く烈しくなって行くのであった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
たけくる恋慕れんぼゆめ此方こなたにはきこえこそ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ひとりで聞けば恋慕れんぼらし。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
金蔵はお豊の胸倉むなぐらをはなして、その手で滝のように落ちる自分の涙を拭きました。無体むたい恋慕れんぼながら真剣である、怖ろしさの極みであるけれども、その心根こころねを察してやれば不憫ふびんでもある。
それはしからん、それは飛んだ事じゃわしにお知らせなさい、押えて宿の主人あるじを呼んで談じます、ういう事はない、自分のうちの客人に対して、女旅とあなどり、恋慕れんぼを仕掛けるとはもってのほかの事じゃ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
Wagnerワグネル恋慕れんぼがくのゆらぎ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
吹いている曲は、たしかに「恋慕れんぼ」と思われる。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かなたには恋慕れんぼびと苦悩なやみに抱く。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
極熱ごくねつ恋慕れんぼ胸うつくるほしさ。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いづれか恋慕れんぼ吐息といきならぬ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さまだるる恋慕れんぼのあへぎ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)