御霊ごりょう)” の例文
旧字:御靈
十年ほど前に御霊ごりょうの文楽座を覗いた時には何の興味もかなかった要は、ただその折にひどく退屈した記憶ばかりが残っていたので
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私と先輩の同窓生で久留米くるめ松下元芳まつしたげんぽうと云う医者と二人づれで、御霊ごりょうと云う宮地みやちに行て夜見世よみせの植木をひやかしてる中に、植木屋が
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
神職 や、このよこしまを、このけがれを、おとりいれにあい成りまするか。その御霊ごりょう御魂みたま、御神体は、いかなる、いずれより、天降あまくだらせます。……
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
七夕祭りの内容を小別こわけしてみると、鎮花祭の後すぐに続く卯月うづき八日の花祭り、五月に入っての端午の節供せっくや田植えから、御霊ごりょう・祇園の両祭会・夏神楽までも籠めて
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
あるいは御霊ごりょうといったというのは、志多羅神のはやった時に、あるいはこれを小藺笠神といい、あるいはこれを八面神などといったのと同様に、各自勝手な名称を呼んだもので
その日の焼亡はまことに前代未聞の沙汰さたで、しもは二条よりかみ御霊ごりょうつじまで、西は大舎人おおとねりより東は室町小路をさかいにおおよそ百町あまり、公家くげ武家のやしきをはじめ合せて三万余宇が
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
夏の御霊ごりょうは海から上って来て、初秋に送られて再び海へ還って行くものと信ぜられていたのである。そうして人間の常に働こうとする者を、睡たくするのも彼がわざと、考えられていたのである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
チボと呼ばれる私が一度おおいに恐れたことは、れも御霊ごりょうの近処で上方かみがたに行われる砂持すなもちと云う祭礼のような事があって
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その日の焼亡はまことに前代未聞の沙汰さたで、しもは二条よりかみ御霊ごりょうつじまで、西は大舎人おおとねりより東は室町小路をさかいにおほよそ百町あまり、公家くげ武家のやしきをはじめ合せて三万余宇が
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
奥州の只野ただの村は、鎌倉権五郎景政が、後三年ごさんねんえきの手柄によって、拝領した領地であったといって、村の御霊ごりょう神社には景政を祀り、その子孫だと称する多田野家が、後々までも住んでおりましたが
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
料理茶屋の物を盗む前にう通り御霊ごりょうの植木見世みせで万引と疑われたが、疑われるはずだ、緒方の書生は本当に万引をして居たその万引と云うは、呉服店ごふくや反物たんものなんど云う念のいった事ではない
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)