引包ひきつゝ)” の例文
たゞさへ、おもけない人影ひとかげであるのに、またかげが、ほしのない外面とのもの、雨氣あまけびた、くもにじんで、屋根やねづたひにばうて、此方こなた引包ひきつゝむやうにおもはれる。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
眞俯向まうつむけにおもかぜなかを、背後うしろからスツとかるおそつて、すそかしらをどツと可恐おそろしいものが引包ひきつゝむとおもふと、ハツとひきいきとき、さつとけて、まへ眞白まつしろおほきかげあらはれます。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)