ちい)” の例文
こりゃア神様のお引合せにちげえ、何うも大きく成りやアがったなア此畜生こんちきしょうちいせえ時分別れて知れやアしねえ、本当に藤屋の娘か
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
練吉はちいさい時頭の大きな首の細い子供であつたが、房一は彼をかはらのまん中で追ひまはしたこともあるやうな気がする。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
『それはの、大きい兄さんがちいさい時に草角力くさずもうに出るのでこしらえたものだよ。よく見てごらん、名前がってあるずら』
虫干し (新字新仮名) / 鷹野つぎ(著)
私のちいさい時から深い馴染のある、あの何だか暖ったかい刺激性の香りが外まであふれて居る。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ちいさいものとなると、さほどでもないような気がするので、大人の呼ぶ声が自然に早く耳に入り、子供のよぶときは知らずしらず油断しているというふうになりやすいのだろうと思いますが
女中訓 (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
そのなかに私のちいさいときに私の心を励ました詩がございます。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
『僕まだずつとちいさかつた時に』エミルが話し出しました。
「剣術なども、おちいい頃から?」
佳日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
娘「わたくしには、親も兄弟もない者を助けてちいさい内から育てたのだと母親おふくろが申して居りますから、なんにもございません」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
病人を一人遣る訳にもいきませんから、わたくしちいさい時怪我をした背中の旧傷ふるきずが暑さ寒さに悩みますので、一緒に行ってついでに湯治をして来ようと思いますので、お急ぎではどうも
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
っかさんの言う事は例え御無理が有りましても、お言葉に背くめえという願掛けでございますが、圓次を殺したとは情ない、ちいさい時から一つ村で生立おいたって、ことに仲のえ圓次を殺し
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
本当の母親おふくろではございません、嘘の母親でございます、それに心得違いな人で、悪い事ばかり致し、わたくしちいさい内から育てゝくれましたから仕方なく附いて居りますが、ヤレ妾に出ろの
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)