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干
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かわ
ふりがな文庫
“
干
(
かわ
)” の例文
皺だらけな顏が白くなつた上に
大粒
(
おほつぶ
)
な汗を
滲
(
にじ
)
ませながら、脣の
干
(
かわ
)
いた、齒の
疎
(
まばら
)
な口を
喘
(
あへ
)
ぐやうに大きく開けて居ります。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「でもないのさ——
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、お茶はおいしいね。今夜は、つまらない相手に強いられてばかりいたので、やけに
干
(
かわ
)
いてならないよ。もう一杯——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「竜吉が死んだ騒ぎの後、いろいろの人が来るので、黒い
縞
(
しま
)
の袷を脱いで、また青い小紋と替えました、——その時はもう袖口の濡れも
干
(
かわ
)
いたので」
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なぜならばその人々は皆、白い
裃
(
かみしも
)
を着、白い緒の編笠をかぶり、手に
数珠
(
じゅず
)
を持って、まだ野辺の送りをすまして来た涙が
干
(
かわ
)
かないでいる人たちであったから。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
緑の野には陽炎がもえて、クーライエンが恐らく朝空に朗に響いているのだろう——食事のあと杖をふりながら丘の上に立ったのは、未だ朝露の
干
(
かわ
)
かぬころであった。
続スウィス日記(千九百二十三年稿)
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
▼ もっと見る
血で、指が、柄から
辷
(
すべ
)
りかけた。膝頭が曲らないように疲れて来た。呼吸が、肩で喘がなくてはならなくなってきた。舌は
干
(
かわ
)
き上って、砥石のように、ざらざらしてきた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
ここを以ちてその兄八年の間に
干
(
かわ
)
き萎え病み枯れき。かれその兄患へ泣きて、その御祖に請ひしかば、すなはちその
詛戸
(
とこひど
)
一六
を返さしめき。ここにその身本の如くに
安平
(
やすら
)
ぎき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
半ば以上も
干
(
かわ
)
いて、広くなった河原を、細く二た条に分れた水が、うねうねと蛇行しているのだが、いまはそれも冰っており、星明りの下でかすかに白く、いかにも冷たげに見えていた。
橋の下
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まるッきり見込がないとのことだ、物干棹には
浴衣
(
ゆかた
)
などが、
干
(
かわ
)
かしてある、梓川を隔てて、対岸の霞沢岳の頂は、坊主頭や半禿げの頭を、いくつか振り立てて、白雲母花崗岩の大露出が
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
百合枝は隅の方に小さく坐って、
干
(
かわ
)
いた
脣
(
くちびる
)
でいった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
皺だらけな顔が白くなつた上に
大粒
(
おほつぶ
)
な汗を
滲
(
にじ
)
ませながら、唇の
干
(
かわ
)
いた、歯の
疎
(
まばら
)
な口を
喘
(
あへ
)
ぐやうに大きく開けて居ります。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
長次郎は店先に
立竦
(
たちすく
)
んだまゝ眼を見張りました。平次が豫想した以上の衝動を與えたらしく、頬が
痙攣
(
けいれん
)
して、唇は僅かに動きますが、舌が
干
(
かわ
)
く樣子で、暫らくは言葉も出て來ません。
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
返り血さえ浴びたまままだ
干
(
かわ
)
かず、血しおの匂いも移っていよう、殺人の美女を行灯の灯かげに近く眺めながら、髪の艶やかさ、頬の白さ、まつ毛の長さ、居くずれたすがたのしおらしさに
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
眼の色も、
干
(
かわ
)
いて、悪くなっていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
なめてもなめても脣が
干
(
かわ
)
いた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
干
常用漢字
小6
部首:⼲
3画
“干”を含む語句
若干
欄干
幾干
乾干
干魚
干渉
射干
干乾
満干
干潮
滿干
梅干
干菓子
干鰯
干鱈
干飯
干菜
汐干狩
潮干
干城
...