山陽さんよう)” の例文
この夏期学校に来ますついでに私は東京に立ち寄り、そのとき私の親爺おやじと詩の話をいたしました。親爺が山陽さんようの古い詩を出してくれました。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
そのなかで山陽さんよう地方の士人しじんふたりも帰郷の途中、淮揚わいようを通過して北門外に宿ろうとすると、宿の主人が丁寧に答えた。
「ただ松の蓋と云うばかりでは、俗でもあるが、これはその何ですよ。山陽さんようが広島におった時に庭に生えていた松の皮をいで山陽が手ずから製したのですよ」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
山陽さんよう項羽本紀こううほんぎを数百遍反覆して一章一句をことごとく暗記したというような教訓が根深く頭に染込しみこんでいて、この根深い因襲を根本から剿絶そうぜつする事が容易でなかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
何だ粗末な文章、山陽さんようなどの書いたものが文章とわれるなら誰でも文章の出来ぬ者はあるまい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
維新は、水戸義公の大日本史編纂へんさんをはじめ、契沖けいちゅう春満あずままろ真淵まぶち宣長のりなが篤胤あつたね、または日本外史の山陽さんようなど、一群の著述家の精神的な啓蒙によって口火を切られたのです。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
せんのすえに青々とすんだ浪華なにわの海には、山陰さんいん山陽さんよう東山とうさんの国々から、寄進きしん巨材きょざい大石たいせきをつみこんでくる大名だいみょうの千ごくぶねが、おのおの舳先へさき紋所もんどころはたをたてならべ、満帆まんぱんに風をはらんで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
安政元年十一月四日五日六日にわたる地震には東海とうかい東山とうさん北陸ほくりく山陽さんよう山陰さんいん南海なんかい西海さいかい諸道しょどうことごとく震動し、災害地帯はあるいは続きあるいは断えてはまた続いてこれらの諸道に分布し
時事雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それでもその中、文化、文政の頃になりまして、山陽さんようとか、木米もくべいとか、竹田ちくでんとか、ああいう連中が少し中国趣味に動きましたが、それとても、結局、木米のごときは、余程日本趣味になりました。
書道と茶道 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
尽日じんじつ雨、山陽さんよう所謂いわゆる春雨はるさめさびしく候」と云う日。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その他はごた/\した雑物ぞうもつばかり。覚えて居るのは大雅堂たいがどう山陽さんよう。刀は天正祐定てんしょうすけさだ二尺五寸拵付こしらえつきく出来たもので四両。ソレカラ蔵書だ。中津の人で買う者はありはせぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
山陽さんようが一番まずいようだ。どうも才子肌さいしはだ俗気ぞくきがあって、いっこう面白うない」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
山陽さんようの書にいたしましても、物徂徠のような具合には行きませんが、それでもあれだけの画の描ける人でもありますし、とにかく美を解した人でありますので、その書も一応は見られるのであります。
山陽さんようの愛蔵したと云う……」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)