ちっ)” の例文
清「それはくねえ、ちっせえ子供じゃアねえし、十七八にもなったものゝ横ぞっぽを打殴ぶんなぐったりしねえで、それより出すは造作もねえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ちっとも顔を見せんじゃないか、ほかの家へは行ってもおれの家へは来るひまはないのか、」と妙な見当違いをてこすられた。
「おや、何故だろう。本田さんなら、いいじゃないか、ちょいと気がいていて、小金もちっとは持ッていなさりそうだし、それに第一男が好くッて」「厭なこッた」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
最初、くち周囲ぐるりがムズ痒いような気持で、サテはちっと中毒ったかナ……と思ううちに指の尖端さきから不自由になって来ます。立とうにも腰が抜けているし、物云おうにも声が出ん。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
百「ハイ、ここ此の村で生立おいたちましたから、ちっけえ時分から新利根川へ這入へえっちゃア泳ぎましたから、泳ぎは知って居やす」
字引をコツコツ引いて油汗をダクダク出して考え考え読んで、なるほどコイツはうめエやではちっとも面白くないと言った。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ちっとばかり洋書が読めて多少の新らしい趣味を解し、時偶ときたまは洋服を着る当時の新らしい女で、男とばかり交際していた。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
此の時節に成りやしたから大阪へ往ったり、又ちっとばかり知る者があって長崎の方へ往って、くすぶって居て、存じながら手紙も上げず、御無沙汰をしやしたが、漸々よう/\此方こっちけえ
が、この腕白わんぱく猫めはすこぶる健啖家で、ちっとやそっとのお裾分すそわけでは満足しなかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)