宿無やどな)” の例文
それに五週間前には私何んにも持つてはゐませんでした——宿無やどなしで、乞食で、放浪者だつたのです。今ではお友達も家も仕事も持つてゐます。
いまは、こうした宿無やどなしの生活せいかつれてしまったが……。しかし、あなたは、てられたのですから、たとえかえっても、うちへは、いれてくれますまい。
小ねこはなにを知ったか (新字新仮名) / 小川未明(著)
今考えると、ちょっと両人ふたりにも同じ事を聞いて見れば善かったような気もする。朝飯を食わないで五里十里と歩き出すものは宿無やどなしか、または準宿無しでなくっちゃならない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
以て出で來れば重四郎は見て其所へるのは彌十か是は重四郎樣と云ふ時手招てまねぎして畔倉こゑひそめコレ彌十今手に掛けし此奴等はみな宿無やどなしなれど此死骸このしがいが有ては兎角後が面倒めんだうなり何と此奴こいつ等を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
八つ、宿無やどな野良のらいぬ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
やせたあまりおおきくないめすいぬであったが、宿無やどないぬというので、そのいぬがお勝手かってもとへくると、どこのいえでもみずをかけたり、いしげつけたりしました。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
としちゃんのうち女中じょちゅうとしちゃんからはなしをきいて、感心かんしんして、そののち、ペスやポチにやらなくても、さかなほねなどを、この宿無やどなしの、かわいそうないぬのくるまでとっておいてやりました。
母犬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆうちゃんの、かわいがっているクロは、やはり、宿無やどないぬであります。
青い石とメダル (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれ少年しょうねんで、まだ田舎いなかにいるとき、むらしろという宿無やどないぬがいました。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まちのある酒屋さかや小舎こやなかで、宿無やどないぬ子供こどもみました。
森の中の犬ころ (新字新仮名) / 小川未明(著)