どつち)” の例文
與吉よきち卯平うへいそばからなゝめしてた。卯平うへい與吉よきちちひさなあしかふへそつとれてた。あしどつちもざら/\とこそつぱかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
田舎の隠居の方は、それにかけては気楽だけれど、お爺いさんは世話がやけて為方しかたがないでせう。だからどつちも駄目さ。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そこは晴代も遊びに行つたことのある芸者屋だつたが、そこで始まる遊び事は、どつちかといへば素人の加はつてはならない半商売人筋のものであつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
が、どつちかとへば、愛嬌あいけうもある、く、趣味しゆみわたし莫迦ばかにするほどでもない。これ長所とりゑ面白味おもしろみもないが、気質きしつ如何いかにもまる出来できてゐる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
どつちも色が浅黒いところから、長火鉢は紫檀したん、食卓も鏡台も箸箱はしばこも黒塗りといつた風の、世帯をもつ前後の他愛のない気分や、木山が遊び半分親店へ通つてゐる間に
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
別にどつちからも何とも口をきかないうちに、あの辺に一人くらゐ馴染のあることも公然の秘密みたいになつてゐたけれど、晴代はおぼろげに想像して内心厭な気持がしてゐるだけで
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
『フン、どつちが外聞が惡いんだらう。私や十歳とをの時からねえさんの御奉公してゐたんだよ。其で姉さんの手から、半襟はんゑりかけくれたこともありやしないで。チヨツ利いたふうな事を言つてるよ。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
『嘘なもんか。實際だよ。』と松公はひとりで笑つて、『第一おれは金さんに濟まないと云ふ、其も有るからね。が、どつちにしても行く。今夜必然きつと行く。』と胡散うさんくさい目色めつきをして、女を見下みおろす。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「あんたとこのおでんと、どつちがおいしい?」蝶子がきくと
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)