始終しよつちう)” の例文
それは始終しよつちうあなたの口にする短い言葉で、また度々私に果しないお喋べりを續けさせたものなんです——何故だかよくは分らないけれど。
『嘘なもんですか。始終しよつちう那麽あんな妙な咳をしてゐたぢやありませんか。……加藤さんがそ言つてるんですもの。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「ぢやビールにしようか。あたしこの頃とてもお酒が強くなつたわよ。——カレラと一緒に毎晩飲むわよ。ところがカレラの方が弱いのさ、昼間は始終しよつちうあの通りなんぢやないの。」
お蝶の訪れ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
さア、面白くないからふくれもしますさ。ぬ、家は始終しよつちう紛糾ごた/\するツてツた譯なんでせう。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
勘次かんじ始終しよつちう手拭てぬぐひもついた右手めてひぢかゝへるやうにして伏目ふしめあるいた。みちうてせまほりあさみづかれはなたれた。がら/\にすさんだ狼把草たうこぎやゑぐがぽつ/\とみづひたつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たま/\あなたに逢ふことがあつても、あなたはさつさと通り過ぎて、始終しよつちう尊敬の態度をしてると同じく、殆んど認めたといふしるしもなく行つてしまふのだつた。
「そんぢや南瓜たうなすもらつてえゝんだな、馬鹿ばかけえ南瓜たうなすぢやねえかな、明日あしたまでいてくろうな」おつたは始終しよつちう笑顏えがほつくつてところみなみ女房にようばうねぎ一束ひとたばわらでくるんだのをかゝへてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「最後のときだつて、ジエィン! 何だつて! 私と一緒に住んで、毎日私に會つて、しかも、まだ私を愛してゐるのに、始終しよつちう冷たく遠ざかつてゐることが出來ると思ふの?」