妖怪変化ようかいへんげ)” の例文
旧字:妖怪變化
或いは山男やまおとこだとか、山姥やまうばだとか、はては鬼などとか呼ばれて、まるで人間ではない、妖怪変化ようかいへんげの仲間の様に思われてしまいました。
「私たちの若い頃は墓地へいってやったものです。子供ながら一刀をさしはさんで、妖怪変化ようかいへんげ出てきたらば斬り捨てんという意気ごみでした」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
が、さてはおのれ妖怪変化ようかいへんげのたぐい! と仙之助がひそかに気負いこんだ時、その小さな人影はけむりのように消え失せてあとかたもなかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
絶えて久しい主人が、こうして夜陰やいんにブラリと尋ねて来たものですから、一学も最初は妖怪変化ようかいへんげではないかとさえ驚きあやしみ、且つ喜びました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
芳年よしとしの三十六怪選の勇ましくも物恐ろしい妖怪変化ようかいへんげの絵や、三枚続きの武者絵に、乳母うばや女中に手をかれた坊ちゃんの足は幾度もその前で動かなくなった。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
「知らねえよ、知らねえよ。おらあ気合い術なんかは知らねえよ。それだのに、どうしたというんだろうな。まるで、妖怪変化ようかいへんげにでも化かされているようじゃねえか」
御自分自身も妖怪変化ようかいへんげあつかいされず、まともなところから立派なお嫁さまないしはお婿さまが来ることが約束されているのを無駄にしないですむと考えておられる結果であろう。
第四次元の男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これ村野の人後患をえんするの法なり云々とあって、昔はさしも大切につかえた地方の神が、次第に軽ぜられのちついに絶縁して、いつとなく妖怪変化ようかいへんげの類に混じた経路を語っている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
妖怪変化ようかいへんげというものは、「」いといってしまってはきょくのないものにはちがいない。
ばけものばなし (新字新仮名) / 岸田劉生(著)
しからざれば、妖怪変化ようかいへんげあに得てかくのごとく活躍せんや。
遠野の奇聞 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いやいやもしもその女が、妖怪変化ようかいへんげであったなら……」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「まず妖怪変化ようかいへんげわざじゃろうな」
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
妖怪変化ようかいへんげにも近いものの如くに解せられ、時に鬼として呼ばれる様にもなるのであるが、そこまでにはなくとも一般に山賤やまがつとして区別せられるは免れなかった。
こいつ、妖怪変化ようかいへんげ! と心得たものの、やにわに斬って捨てるのも、うろたえたようで大人げない。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「おやおや幽霊め、とうとう妖怪変化ようかいへんげの正体をあらわして、逃げてしまったかな」
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
妖怪変化ようかいへんげの出現というものが、大体にこの法則に支配せられていた。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
といって、必ずしも、それは妖怪変化ようかいへんげの為すわざでもあるまい。何といっても温泉場は温泉場である。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「はて、ふしぎなことだわい。まさか妖怪変化ようかいへんげ仕業しわざでもあるまいに……」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いったい能登守という人は、妖怪変化ようかいへんげを信ずることのない人であるから、あの提灯についてはいかなる解釈を下しているのだろうと、その心持を兵馬は忖度そんたくしてみないでもありません。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そこが妖怪変化ようかいへんげだ。あとで我々にたたりをしなければいいが」
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
相手は妖怪変化ようかいへんげではない、胆吹から大江山へ飛んだ女賊童子の一味でもないし、正体も居所もすっかりわかったのだからと、この上は手段を尽して、面と相向ってぶっつかるばかりだ
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それは妖怪変化ようかいへんげの類である。
四次元漂流 (新字新仮名) / 海野十三(著)