好事よきこと)” の例文
見慣みならひて平生へいぜいはすはにそだちしは其の父母の教訓をしへいたらざる所なり取譯とりわけはゝこゝろよこしまにて欲深よくふかく亭主庄三郎は商賣しやうばいの道は知りても世事せじうと世帶せたいは妻にまかおくゆゑ妻は好事よきことにしてをつとしりき身上むき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
思へば好事よきことには泣くとぞふなる密閉室あかずのまの一件が、今宵誕辰たんしんの祝宴に悠々いう/\くわんつくすをねたみ、不快なる声を発してその快楽を乱せるならむか、あはれむべしと夜着よぎかぶりぬ。眼は眠れどもしんは覚めたり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
らうし何とも氣毒きのどくの至りなり以來いらい此左京は山賊はやめ申すと云ふに大膳呵々から/\と打笑ひ左京どの沙彌さみから長老ちやうらうと申し何事でも左樣うまくは行ぬ者なり山賊さんぞくとても其通り兎角辛抱しんばう肝心かんじんなり石の上にも三年と云へば先づ/\氣長きながにし給へ其内には好事よきことも有るべし扨また我は今宵こよひの留守にらうせずして小千兩のとり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)