奥庭おくにわ)” の例文
旧字:奧庭
黒いちぎれ雲のように、彼女のまえをかすめて奥庭おくにわへ降りたかと思うと——地にはとまらないで、また、いあがってきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男気おとこけのない奥庭おくにわに、次第しだいかずした女中達じょちゅうたちは、おれん姿すがた見失みうしなっては一大事だいじおもったのであろう。おいわかきもおしなべて、にわ木戸きどへとみだした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そして、何だか怒鳴り返していたが、やがて、奥庭おくにわ寝転ねころんでいた「熊」を呼んでしかけた。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
余はゆか囃子はやし連弾つれびき掛合かけあいの如き合方あいかたを最も好むものなり。『鬼一法眼きいちほうげん菊畑きくばたけの場にて奴虎蔵やっことらぞう奥庭おくにわに忍び入らんとして身がまへしつつ進み行くあたりのゆかの三絃を聴かば誰かチョボを無用なりとせん。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
奥庭おくにわ殿とのさまがっているさる——あの三太郎猿さんたろうざるじゃないか、とすれば、いててやろうか、あいつはおもしろい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とすれば、どこへいったのかしら——と彼女かのじょらん南側みなみがわから奥庭おくにわひさしをのぞいていると、とつぜん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)