大薙刀おおなぎなた)” の例文
一群れ、一団ずつ、武器をりあげられて、降人こうにんとなる組があるし、反抗して、大薙刀おおなぎなたで、首を打ち落されている者や、組み敷かれて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その途中でも、大薙刀おおなぎなたをかいこんだ武装の僧にいくたびも誰何すいかされたが、幸いに、少年の阿新丸を連れていたので、さしたる難も見ずに通された。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こなたにあって、天野刑部あまのぎょうぶ大薙刀おおなぎなたと渡りあっていた木隠龍太郎こがくれりゅうたろうは、奮然ふんぜんと、刑部を一刀のもとってすて、梅雪のあとからどこまでも追いかけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、そのむさぼるにまかせ、兵みなくちしずくし、眼底を濡らすを見るや、大薙刀おおなぎなたの石づきを、なおあませる巨瓶おおがめの腹にさし向け
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
果たして、翌二日の朝、五郎信盛は、大薙刀おおなぎなたを杖ついて、左の太い足に、草鞋わらじをくくりつけ、その片足を引きり引き摺り城の多門たもんまで歩いて来て
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
例の大薙刀おおなぎなたんだのや、大太刀を横たえたのが、ごうごうと呶鳴るだけでは足らないで、性善坊の腕くびをつかみ、一人は今にも、草庵の板の間へ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
叡山えいざん天台座主てんだいざすもやり、三井寺にもいたという僧歴はあるが、いまどきの法師は、大薙刀おおなぎなたを振ったり、火攻め夜討ちにも、勇敢でなければならない。僧正は、人にいっている。
云いすてるや否、長政は大薙刀おおなぎなたって、える闇夜の外へ、駈けだして行った。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近江おうみくんだりまで仕事に行って、その仕事は物にならず、地武士じざむらいには追んまわされ、警吏やくにんにはおどかされ、そのうえ逃げこんだ三井寺の法師武者にゃ大薙刀おおなぎなたをお見舞いされて、二日二晩
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
岩見と少斎は、大薙刀おおなぎなたに血しおを塗って、夫人の奥の座所へ馳けこんで来た。
おそろしく赤面で、ひげの見事な大将でした。大薙刀おおなぎなたでただ一撃に顔良将軍を斬ってしまい、落着きはらって首を赤い馬の鞍に結びつけて引っ返しながら——雲長関羽の道をさまたげるなと、広言を
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あれば大薙刀おおなぎなたを抱えた山法師か猿ぐらいなもの。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)