壮士そうし)” の例文
旧字:壯士
だが、その典医たちがくるよりも、鐘巻一火かねまきいっか門下もんか壮士そうしたいをしたがえてそこへ飛んできたほうが一足ひとあしばかり早かったのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十勝の山奥に来て薩摩琵琶とは、思いかけぬ豪興ごうきょうである。弾手ひきて林学士りんがくしが部下の塩田君しおだくん鹿児島かごしま壮士そうし。何をと問われて、取りあえず「城山しろやま」を所望しょもうする。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
老僕ろうぼくひたいしかめ、り有り、大変たいへんが有りたりという。先生手をげて、そはしばらくくをめよ、我まずこれを言わん、浮浪ふろう壮士そうし御老中ごろうじゅうにても暗殺あんさつせしにはあらざると。
されば三十一年の秋、周王しゅくとらえらるゝを見て、燕王は遂に壮士そうしえらみて護衛となし、極めて警戒を厳にしたり。されども斉泰黄子澄に在りては、もとより燕王をゆるす能わず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
最も大切なる学問の時期を……今日でいわばまず壮士そうし的運動のために……少しばかり本は読んだけれども、学問の必要な時期を種々の出来事のために全く無用でもなかったか知らぬが
それは実朝の御台みだいを迎えに往くためであった。実朝の御台は奏聞そうもんを経て、坊門大納言信清卿ぼうもんだいなごんのぶきよきょう息女そくじょを迎えることになったので、鎌倉では容儀ようぎ花麗かれい壮士そうしを選んでそれを迎いに往かした。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
同じいやなものにても壮士そうし役者か曾我そが位ならまだ/\どうにか我慢も出来もうすべく候へども自動車の運転手や活動弁士にてはいかに色事を浄瑠璃じょうるり模様に見立てたき心はありても到底色と意気とを
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
丁度今の壮士そうしと云うようなもので、ヒョコ/\妙な処から出て来る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「や、これは。ちよつ壮士そうし芝居といふところを」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
来て見ると、前日中に明け渡す約束なのに、先住せんじゅうの人々はまだ仕舞しまいかねて、最後の荷車に物を積んで居た。以前石山君の壮士そうしをしたと云う家主やぬしの大工とも挨拶あいさつを交換した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)