塗椀ぬりわん)” の例文
七八ななやここのツばかり、母が存生ぞんしょうの頃の雛祭ひなまつりには、毛氈もうせんを掛けた桃桜ももさくらの壇の前に、小さな蒔絵まきえの膳に並んで、この猪口ちょこほどな塗椀ぬりわんで、一緒にしじみつゆを替えた時は、この娘が、練物ねりもののような顔のほかは
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ながもと小桶こをけなか茶碗ちやわん塗椀ぬりわんあらはないまゝけてあつた。下女部屋げぢよべやのぞくと、きよ自分じぶんまへちひさなぜんひかえたなり、御櫃おはちりかゝつて突伏つつぷしてゐた。宗助そうすけまたでふいてくびんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)