執事しつじ)” の例文
「こん夜は泊り番さ。いま女房にもいっといたが、万事君にお願いするよ。法要の執事しつじなんてしたこともあるまいがね。はははは」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで執事しつじウィックスティード氏は、鉄棒の化けものの猛反撃もうはんげきをくった。ただ、残酷ざんこくとしか言いようのない、無残むざんころされようであった。
「待て/\、それが贋物ときまつたら、錺屋の由五郎が、贋金造りにきまつた、直ぐ常大寺の執事しつじをつれて、女坂下へ來るやうにとさう言ふんだ」
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
執事しつじの勝見伍策というのが出迎えましたが、直ちに私の兄で、赤耀館の当主であった丈太郎に取次ぎましたが、兄は舌打したうちをして顔の色さえ変えました。
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして、その中に眼を光らせていたのは、なんと高梨家の執事しつじと称する、白髪白髯はくはつはくぜんの怪老人ではなかったか。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
与次郎が寺のことはいちばんよく知っていて、いちばんよく働くから、貫主も一目も二目も置くことがあります。与次郎老人が一月寺の実際上の執事しつじでありました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
家令かれい執事しつじかというふうにみせかけましたり御ひいきの芸人になりすましたりいたしまして旅へ出ましたらお遊さんは二人から御寮ごりょんはんと呼ばれるのでござりました。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
東京から急を聴いて馳け付けた女中や、執事しつじなどで、瑠璃子の床はにぎやかに取巻かれた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
フォン・リンデン伯爵夫人と、給仕に出ていた執事しつじとの間に素早い眼配めくばせが交された。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
とにかく、私は院に仕える者だから、院の執事しつじである成親卿が、院のご命令といって催されたことには、もちろん参加するのは当然のことで、それを、荷担しないなどとは申してはおりませんがね。
そこはバードックきょう荘園しょうえんのある高原こうげんの静かな土地で、荘園ではたらく執事しつじが、じぶんの住居すまいに昼の食事にかえるとちゅう、ころされたのである。
そのほか、執事しつじ師直もろなおやら、つらなる諸大将もみな、一偈一詠いちげいちえいずつのかたちで、三十三首の歌を作り、即座に、尊氏はそれを巻物に清書して、寺へ納めた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな生活をしているものだから、話し相手がほしいのですね。もっとも老人の執事しつじかなんかが一緒にいるんだそうですが、老人ではお話し相手になりませんからね
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その武士が来て案内を乞うと、有野家の執事しつじといったような老人がまず騒ぎはじめました。
途端に身体に感ずる感電刺戟かんでんしげき執事しつじ矢口やぐちが呼んでいるのだった。さてはいよいよお待ち兼ねのお客様であるか。寝床をヒラリと飛び下ると、直ぐ左手の衣裳室いしょうしつへ突進した。——二分間。
空中墳墓 (新字新仮名) / 海野十三(著)
庫裏くりから訪づれると、住職の大けん和尚をしやうは老齡の上、この事件で本堂再建の望みもフイになり、落膽して床に就いて居るといふので、執事しつじ鐵了てつれうといふ四十年輩の僧侶が逢つてくれました。
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
藤吉郎は、さっそく義昭よしあきやかたへ出向いて、将軍家にえつを乞う——と、執事しつじの上野中務大輔なかつかさのたゆうまで申し出た。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口にしたこともないきたないことばを、おとなしい執事しつじが、めずらしくきすてた。つづいて、このやろう……このやろう、と夢中むちゅう鉄棒てつぼうにステッキで、なぐりかかっていった。
畑柳家には、執事しつじの様な役目を勤めている、斎藤さいとうという老人がいたのだけれど、あいにく不在の為に、三谷が代って、警察へ電話を掛け、事情を告げて、茂少年の捜索を依頼した。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
でてきた相手は、ガスコ氏の執事しつじのハンスであった。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
執事しつじの殿の宮めぐり
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宝蔵院執事しつじ
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)