四歳よっつ)” の例文
つい此の小僧に心が引かされて、お兄様やお母様に不孝を致します、せめて此の與之助が四歳よっつ五歳いつゝに成ります迄何卒どうぞお待ち遊ばして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「子供はまだ三歳みっつ四歳よっつじゃあどうにもならねえが、そのおふくろというのはまだ十九だそうだから、間違いがあっちゃあ可哀そうだ」
半七捕物帳:10 広重と河獺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その晩、炉の前で、数え年四歳よっつになる郁太郎いくたろうを、その巨大な膝に抱きあげている与八に向って、お松が、こんなことを言いました
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
四歳よっつほどの年上であることを夫人自身でもきまずく恥ずかしく思っているが、美の整った女盛りの貴女きじょであることは源氏も認めているのである。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
三人がこんなふうにじんどっているとき、四歳よっつになる孫は、ゆかの上で、しきりに小さな板きれをあつめています。
二人ともせいぜい四歳よっつになったばかりかと思われる。大きな椰子の根上りした、そのひげだらけの根元に立っているので、余計に小さく見えるのであろう。
暦や錦絵にしきえはり付けた古壁の側には、六歳むっつに成るお房と、四歳よっつに成るお菊とが、お手玉の音をさせながら遊んでいた。そこいらには、首のちぎれた人形も投出してあった。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
まだ四歳よっつか五つくらいな時分。故郷くに大和やまと柳生の庄の祖父君おじぎみ——門流の人々はそれを、大祖たいそといってあがめている——石舟斎宗厳むねよしから、杖をもって、あしらわれあしらわれ
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
器量望みで貰われただけあって、外側から見たお秀はいつまでっても若かった。一つ年下のお延に比べて見てもやっぱり若かった。四歳よっつの子持とはどうしても考えられないくらいであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
戻って柳橋の袂を往復ゆきかえりして、淡紅色ももいろ洋脂ぺんきが錆にはげた鉄欄の間から、今宵は神田川へ繋り船のかみさんが、桶をふなばたへ載せて米を磨いで居る背中に、四歳よっつばかりの小児こどもが負われながら仰反のけぞって居るのを
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
ついてはかみがお逝去かくれになれば、貴様も知っての通り奥方もお逝去で、御順ごじゅんにまいれば若様をというのだが、まだ御幼年、取ってお四歳よっつである、余りおちいさ過ぎる
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この報知しらせを受取った三吉夫婦は、子供に着物を着更えさせて、停車場ステーションを指して急いだ。夫婦は、四歳よっつに成る総領のお房ばかりでなく、二歳ふたつに成るお菊という娘の親ででもあった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もう四歳よっつになった以上は、単に育てるだけではいけないということに気がつきました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その朝麿が二歳ふたつ、十八公麿が四歳よっつとなった。乳人めのとにだかれている弟を
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)