ゆい)” の例文
馬をらせては、当代ゆい二の名ある作阿弥さくあみ殿、イヤ、かようなところに、名を変えてひそんでおられようとは……?
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かさなりうように、なら家々いえいえ屋根やねは、さながら波濤はとうのごとくでした。うえですむことのできないものは、ここがゆい一の場所ばしょであったかしれません。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
師範出の杉田というのがいやにいばるのがしゃくにさわるが、自分は彼奴等きゃつらのように校長になるのをゆい一の目的に一生小学校に勤めている人間とは種類が違うのだと思うと
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
この奇巌城こそ、仏蘭西フランス国家のすべての宝物ほうもつの蔵であり、またゆい一つの隠れ場所である。
光治こうじは、まもなく自分じぶんこころをなぐさめたゆい一のふえをなくしてしまったことを後悔こうかいいたしました。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
当代ゆい一の妙刀みょうとうであったからで。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)