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唆
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そゝ
ふりがな文庫
“
唆
(
そゝ
)” の例文
たえ子はかつとしたやうな
不思議
(
ふしぎ
)
な戦慄を身に感じた。そして不思議な好奇心が彼女を
唆
(
そゝ
)
つた。勿論不可抗的な運命のやうに、彼女の手が働きかけた。
復讐
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
心を
焦
(
いら
)
だゝせるものや、
唆
(
そゝ
)
るものゝ、めまぐるしい曠野であつて、眞の生命の知識を探さうと危險を
冒
(
をか
)
して
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
予の心の中に馴染みついた『坊つちやん』はどうしても『坊つちやん』の故郷を見せやうと予を
唆
(
そゝ
)
り立てゝ仕様が無い。実在の人の如くに唆り立てゝ仕様が無い。
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
お信さんは何かしら特別興味を
唆
(
そゝ
)
られたやうに、一々さうどすか/\とうなづき/\聞いてゐた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
歌の句が片々に
混雜
(
こんがらが
)
つて、
唆
(
そゝ
)
るやうに耳の底に
甦
(
よみがへ
)
る。『あの時——』と何やら思出される。それが餘りに近い記憶なので却つて
全體
(
みな
)
まで思出されずに消えて了ふ。四邊は靜かだ。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
銀座の縁日の晩などには、よくまた小父さんに連れられて行つたものです。乞食の集つて居るやうな薄暗いところから急に明るい
群集
(
ひとごみ
)
の中へ出ることは、妙に私の心を
唆
(
そゝ
)
りました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
自分の書いたものが、白いシーツに写つたり、脚光に照らし出されたりして、観客の感情をいろ/\と
唆
(
そゝ
)
り立てる事は、ひそかにそれを見てゐる彼にとつても
尠
(
すく
)
なからず愉快であつた。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
故意ニカ偶然ニカ、彼女ノ唇カラ出タコノ一語ハ妙ニ予ノ関心ヲ
唆
(
そゝ
)
ッタ。ソノ日ハバーベキュー、昨日ハ病気デ静養中デアッタガ、ソノ間モ予ノ頭ニハ絶エズコノ言葉ガ引ッカヽッテイタ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と彼女は
慌
(
あわたゞ
)
しく廻る身の轉變に思ひを
唆
(
そゝ
)
られてか潤んだ聲で言つた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
で、彼女が出て行つた後で私は何となく力が出て來て、
蘇
(
よみがへ
)
つたやうな感じがした。間もなく、休息に飽き足りたことと、動いてみたい氣持とが私を
唆
(
そゝ
)
り立てた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
今のやうな
境涯
(
きやうがい
)
に
陥
(
お
)
ちることになつたのであつたが、ちやうど其の時分の淡い追憶のやうなものが
彼
(
か
)
の大学生によつて、ぼんやり
喚覚
(
よびさ
)
まされるやうな
果敢
(
はか
)
ない懐かしさを
唆
(
そゝ
)
られた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
多分彼は私が乞食ではなくて、
好事家
(
かうずか
)
の婦人が自分の黒パンに興味を
唆
(
そゝ
)
られたものとでも思つたらしかつた。で、私は彼の家が見えなくなると
直樣
(
すぐさま
)
、坐り込んで食べ初めた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
彼
(
かれ
)
の
作品
(
さくひん
)
と
彼
(
かれ
)
の
盛名
(
せいめい
)
と
彼
(
かれ
)
の
手紙
(
てがみ
)
、
乃至
(
ないし
)
は
写真
(
しやしん
)
のやうなものから
想像
(
さうざう
)
された
年少作家
(
ねんせうさくか
)
大久保
(
おほくぼ
)
が、
何
(
ど
)
んなに
美
(
うつく
)
しい
幻影
(
げんえい
)
と
憧憬心
(
あこがれごころ
)
の
多
(
おほ
)
い
彼女
(
かのぢよ
)
の
情熱
(
じやうねつ
)
を
唆
(
そゝ
)
つたかは、
竹村
(
たけむら
)
にも
大凡
(
おほよ
)
そ
想像
(
さうざう
)
ができるのであつた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
唆
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
“唆”を含む語句
教唆
示唆
教唆罪
示唆的