和泉守いずみのかみ)” の例文
当夜の客には、尾張宗春きょう、酒井日向守、松平和泉守いずみのかみ、松平左衛門佐さえもんのすけ、御親類は能勢因幡守、榊原七郎右衛門、同大膳などがいた。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それに、出稽古さきの諸家しょけ——松平和泉守いずみのかみ、戸田内膳、堀田信濃守しなののかみ、松平備後守びんごのかみ、板倉伊賀守らから、その係りの人が出席した。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その女の兄である前和泉守いずみのかみをお呼び寄せになっては、若い日へお帰りになったような相談をされた。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
根岸肥前守ひぜんのかみ、岩瀬加賀守かがのかみ、荒尾但馬守たじまのかみ、筒井和泉守いずみのかみ、四代の町奉行に歴仕して、綽名あだなを「玻璃窓はりまど」と呼ばれたところの、郡上平八は呟いたが、急にニヤリと片笑いをすると
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼の憤怒ふんど悲痛を察して、その馬前馬後をかこんで行く——直江大和守、長尾遠江守ながおとおとうみのかみ、鮎川摂津せっつ、村上義清、高梨たかなし政頼、柿崎和泉守いずみのかみなどの諸将も、いまは何も激声を発しなかった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幕府は老中水野和泉守いずみのかみの名で正月の二十五日あたりからすでにその催促を万石以上の面々に達し、三百の諸侯を頤使いしした旧時のごとくに大いに幕威を一振いっしんしようと試みていた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
以上六人を連れて浪人はその近所にある水野和泉守いずみのかみ屋敷の辻番所へ出頭しました。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こんな山奥に竜神を祀ることが、奇妙といえば奇妙である——今を去ること幾百年の昔、この地に竜神和泉守いずみのかみという豪族が住んでいた。その屋敷跡は、今もあるということであります。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
五百はすぐに中臈ちゅうろうにせられて、殿様づきさだまり、同時に奥方祐筆ゆうひつを兼ねた。殿様は伊勢国安濃郡あのごおり津の城主、三十二万三千九百五十石の藤堂和泉守いずみのかみ高猷たかゆきである。官位はじゅ四位侍従になっていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
八年まえ、藩主和泉守いずみのかみ信容の叔父に当る丹後信温のぶやすという人が、江戸家老と組んで藩の政治をみだし、危うく幕府の譴責けんせきをかいそうになった。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
これらはことごとく江戸にある水野和泉守いずみのかみに任すべきゆえ、すみやかに江戸において談判せられよ、京都の皇帝へは外国事情をよく告げ置くであろうとの趣にしたためてもらいたい。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
諏訪飛騨守すわひだのかみ御牧みまき三左衛門、荒木山城守、四方田但馬守しほうでんたじまのかみ、村上和泉守いずみのかみ三宅みやけ式部、そのほか幹部たちのおびただしい甲冑かっちゅうの影が幾重にも光秀を囲んで、鉄桶てっとうのごときものを作っていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっともはるか東北の方には藤堂和泉守いずみのかみや酒井左衛門尉さえもんのじょうや佐竹左京太夫や宗対馬守そうつしまのかみの、それこそ雄大な屋敷屋敷が、長屋町家を圧迫して月夜の蒼白い空をして、そそり立ってはいたけれど……。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)