古臭ふるくさ)” の例文
ですから教室はあの水車小屋ごやみたいな古臭ふるくさ寒天かんてんのような教室でした。みんなは胆取きもとりと巡査じゅんさにわかれてあばれています。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それは京都に共通な暗い陰気な作りの上に、柱や格子こうしを黒赤く塗って、わざと古臭ふるくさく見せた狭い貸家であった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今は、宇宙線と重力じゅうりょくとの関係を研究しているが、今までにも、たくさんの発明がある。その中で、かなり古臭ふるくさくなった発明を、方々の国に売って、莫大ばくだいな金を得ている。
それは京都きやうと共通きようつうくら陰氣いんきつくりのうへに、はしら格子かうし黒赤くろあかつて、わざと古臭ふるくさせたせま貸家かしやであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ではごく上品な例で説明してやらう。古臭ふるくさはなしだが、ある本でんな事を読んだ覚えがある。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼は久しぶりに下谷の車坂くるまざかへ出て、あれから東へ真直まっすぐに、寺の門だの、仏師屋ぶっしやだの、古臭ふるくさ生薬屋きぐすりやだの、徳川時代のがらくたをほこりといっしょに並べた道具屋だのを左右に見ながら
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其内で私は歴史的に読者の過去を蕩揺とうようする、草双紙とか、薄暗い倉とか、古臭ふるくさ行灯あんどんとか、または旧幕時代から連綿とつづいている旧家とか、温泉場とかを第一にげたいと思います。
木下杢太郎『唐草表紙』序 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
精神的になって来ると——そうですね、古臭ふるくさい例を引くようでありますが、坊さんというものは肉食妻帯にくじきさいたいをしない主義であります。それを真宗しんしゅうの方では、ずっと昔から肉を食った、女房を持っている。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「もうんな古臭ふるくさところにはきた」とつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)