くわく)” の例文
長者町へ入ると、向うに見える一くわく、それは俵屋の大きなかまへですが、その中に一パイのあかりが點いて多勢の人が、出たり入つたり、まさに右往左往してゐるのです。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
あなくちかぬのにこれなのであるから、横穴よこあな發見はつけんとなつたら、どんな混亂こんらんしやうずるかわからぬといふので、警戒區域内けいかいくゐきないさらまた小區せうくくわくし、此所こゝにはたれれぬことにして
れてやがて三十年、今ではぼくも町内一二の古かほになつてしまつたが、麻布あさふ區新りう土町といふと、うしろに歩兵第三聯たいのモダアン兵えいを控えた戸すう六七十の一區くわくだが、ロオマ法王使節館しせつくわん
くうくわくして居るこれを物といひ、時に沿うて起る之を事といふ、事物を離れて心なく、心を離れて事物なし、故に事物の変遷推移を名づけて人生といふ、なほ麕身きんしん牛尾ぎうび馬蹄ばていのものを捉へてきりんといふが如し
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)