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剥
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め
ふりがな文庫
“
剥
(
め
)” の例文
が自分の傍からこの精霊を退散させる力が自分にないと同様に、この覆い物を
引
(
ひ
)
き
剥
(
め
)
くるだけの力がどうしても彼にはなかった。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
お光さんは、腰をおろすとすぐに、それを彼の手の下から
毮
(
むし
)
るように
引
(
ひ
)
っ
奪
(
た
)
くって、四、五枚、ペラペラと見ては
剥
(
め
)
くり返して
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
次にこの野蛮人もしくは、原始人の皮を今一度
剥
(
め
)
くってみると、その下には畜生……すなわち
禽獣
(
きんじゅう
)
の性格が一パイに横溢している事が発見される。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
距離の加減で、
悠
(
ゆ
)
ったりと落ちつきはらって、南の空を、のたくっている、それでも尖りに尖った山稜の鋭角からは、古い大伽藍の屋根の瓦が、一枚一枚
剥
(
め
)
くられては、落ちて砕けて
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
いいながら、役人たちは、ずかずかと歩き廻り、自身でも、船板を上げたり苫を
剥
(
め
)
くったり、厳しい眼を光らしていたが
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
しかし
一度
(
ひとたび
)
その肉体の表皮を
剥
(
め
)
くって、肉を引き離し、内臓を検査し、脳髄や五官の内容を解剖して細かに観察してみると、その各部分部分の構成は一つ一つに
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
有明けの空のような、
仄白
(
ほのじろ
)
い、
脅
(
おび
)
えた女の顔が、斜めに頭巾から
剥
(
め
)
くり出されたが、そのとたんに、波越八弥は、ほとんど、
喪心
(
そうしん
)
するような驚きをあらわして
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まず所謂、文化人の表皮……博愛仁慈、正義人道、礼儀作法なぞで粉飾してある人間の皮を一枚
剥
(
め
)
くると、その下からは野蛮人、もしくは原始人の生活心理があらわれて来る。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だが、それを
剥
(
め
)
くッて見たとたんに、舟辰は、あっといったきり、
開
(
あ
)
いた口がふさがらなかった。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吾輩は白い
布片
(
きれ
)
の下で全身を緊張さした。両の拳を握り固めて、無念流の棄て構え……といった恰好に身構えたが、白い布片を
剥
(
め
)
くったら、虚空を掴んで死にかけている人間の恰好に似ていたろう。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
シャ
嗄
(
が
)
れ声をしぼって駈けまわっていたが、そのうちに、一ヵ所の陣幕のすそが、烈風にふき
煽
(
あお
)
られてぱッと
剥
(
め
)
くられた刹那、チラと、その中にいた赤地錦の
鎧直垂
(
よろいひたたれ
)
と八龍の兜との人影を
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
尊氏の眉も唇も
稲妻
(
いなずま
)
のように引ッつれた。だが、膝の関節がささえきれずにその体を先に
崩
(
くず
)
してしまっている。そしてふるえる手がもう意志でもなく夜具の
襟
(
えり
)
を
剥
(
め
)
くっていた。下に、顔があった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると隣の
干鰯船
(
ほしかぶね
)
から、仲間の八が、
苫
(
とま
)
を
剥
(
め
)
くって
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
槍で、それを
剥
(
め
)
くった男が
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
剥
部首:⼑
10画
“剥”を含む語句
引剥
皮剥
追剥
剥取
擦剥
赤剥
逆剥
生剥
剥落
剥出
剥奪
摺剥
剥啄
落剥
剥製
剥身
臭剥
剥脱
剥離
剥繰
...