冷水れいすい)” の例文
冷水れいすいをたたえた手桶ておけ小柄杓こびしゃく、それに、あせどめの白布はくふをそえてはこんできた若い武士ぶしがある。一同にその使用をすすめたのち
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
現今げんこんでは精神病者せいしんびょうしゃ治療ちりょう冷水れいすいそそがぬ、蒸暑むしあつきシャツをせぬ、そうして人間的にんげんてき彼等かれら取扱とりあつかう、すなわ新聞しんぶん記載きさいするとおり、彼等かれらために、演劇えんげき舞蹈ぶとうもよおす。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
の枝に縛り付けられて居ります三人の囚人めしゅうどは気絶してるので、文治は冷水れいすいを吹掛けて介抱して居りますると、うしろの方に当ってわア/\という騒がしい声、振向きますと
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すると、冷水れいすいびるように、悪寒おかん背筋せすじながれて、手足てあしまでぶるぶるとふるえました。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
家の敷居をまたいだ宗助そうすけは、おのれにさえ憫然びんぜんな姿をえがいた。彼は過去十日間毎朝頭を冷水れいすいらしたなり、いまだかつてくしの歯を通した事がなかった。ひげもとよりいとまたなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)