げなん)” の例文
「今晩あたり来ようものなら、ひと打ちだ」と、台所のすみで鼻のさきを赤くして、おしきせの酒をちびりちびりとやるげなんもあった。
女賊記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そのうちに上元じょうげんの節となった。母方の従兄弟いとこという者があって、それが迎いに来たので一緒に遊びに出て、村はずれまでいった時、呉の家のげなんが呉を呼びに来てれていった。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「僕が宰相になったなら、張兄を南方の巡撫にし、中表いとこを参軍にしよう、我家うちの年よりのげなん小千把しょうせんはになるさ、僕の望みもそれで足れりだ」
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
平太郎はげなんの六助に寝衣を出してもらってそれを着たが、半路以上もある処を走って疲労つかれたので、其のまま蚊帳の中へ入って横になった。
魔王物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
中山源七が見舞に来たが、げなんがいなくなったことを聞くと、己の家に使うている八蔵と云う僕を貸してくれた。
魔王物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
曾はそこで今こそその思いをとげることができると思って、頭だった数人のげなんをやって、無理にその家へ金をやった。女はすぐ籐の輿に乗って曾のもとへ来た。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
崔も馬からおりてげなんといっしょにそれぞれ自個じぶんの乗っていた馬を傍の花の木に繋いだ。林のはずれに立っていた婢が若い二三人の婢といっしょに引返してきた。
崔書生 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
黄英はげなんに言いつけて菊を植えたが、陶のやることとすこしもかわらなかった。そして、金をとることがますます多くなって、商人のすることにかなっていた。
黄英 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
平太郎は女を伴れて布努村のじぶんの家に帰って来た。げなんの八蔵は眼を円くして足盥に水を入れて来た。女は極まり悪そうにしてそれで足を洗って座敷へあがった。
魔王物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彼は馬に乗り、一人のげなんをつれていた。道は燕趙の間の山間さんかんにかかっていたが、ある日、宿を取りそこねて、往っているうちに岩の聳え立った谷の間へ入ってしまった。
虎媛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
年とったげなんが赤く焼いた火箸ひばしのような鉄片を持って出て来ました。握る処にはれた藁縄わらなわを巻いてありました。長者はそれを受けとると、庭に下りてわかい男の前に立ちました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
杜陽とようげなんの二人は山道にかかっていた。足がかりのない山腹のいわから巌へ木をわたしてしつらえた桟道かけはしには、ところどころ深い壑底たにそこの覗かれる穴が開いていて魂をひやひやさした。
陳宝祠 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そのうえにじょちゅうげなんもつぎつぎに歿くなったので、滄客は悲しみにたえられなかった。
劉海石 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それはげなんのようなふうをした男でその手には何かものがあった。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
崔はげなんを供にれていた。崔は僕を振り返った。
崔書生 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それはもと使っていたげなんであった。
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
げなんは何所にいるだろう」
竹青 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)