僅々きん/\)” の例文
あなたこちらですと楼婢じょちゅうに案内されて二階へあがれば、なるほど、三時は今途中で聞いたのに、来会者は僅々きん/\三四十人に過ぎない。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
そこで東京上野からは正しく僅々きん/\五時間で八景の一たる景勝が連接されてゐると思ふと、莞爾くわんじとして滿足欣快の感のわきあがるのを覺えた。五時間である。僅に五時間である。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
すなは二階建にかいだて二階座敷にかいざしき階下座敷かいかざしき五倍ごばいれるようならば、不安定ふあんてい構造こうぞう判斷はんだんしなければならないが、もし僅々きん/\二倍位にばいぐらゐにしかれないならば、むし堅牢けんろう建物たてもの見做みなしてよいであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
きつはなして急催促きふさいそく言譯いひわけすべきほどもなくたちま表向おもてむきの訴訟沙汰そしようざたとはれりけるもと松澤まつざは數代すだい家柄いへがら信用しんようあつければ僅々きん/\せん二千にせんかね何方いづかたにても調達てうたつ出來得できうべしと世人せじんおもふは反對うらうへにて玉子たまご四角しかくまだ萬國博覽曾ばんこくはくらんくわいにも陳列ちんれつ沙汰さた
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)