)” の例文
英国に火傷やけどした指を火を近づけて火毒を吸い出さしむる民俗あり、蝮に咬まれた処へその蝮の肉をけて治すような同感療法ホメオパチーじゃ。
此故に縦令たとひおしろいの広告が全紙面をうづむとも、粉白ふんはくくるに意なきものがこれを咎めようとはせぬのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それも製作技術の智慧からではあるが、丸太まるたを組み、割竹わりだけを編み、紙をり、色をけて、インチキ大仏のその眼のあなから安房あわ上総かずさまで見ゆるほどなのを江戸えどに作ったことがある。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
老いたるかな、衰へたるかな、只だ是れしかばねの脂粉をけて行くものゝみ。
南渡の後呉俗もっとも盛んで、皆脂粉をけ盛んに粧飾し、針縫を善くし、呼んでいう皆婦人のごとし。その首たる者を、師巫行頭と号す。
絿ちぢらせた明色めいしょくの髪に金粉をけて、肩と腰とに言訣いいわけばかりの赤い着物を着た女を、客が一人宛傍ずつそばに引き寄せている。金井君は、「己は肺病だぞ、傍に来るとうつるぞ」と叫んでいる。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一部始終を申立てた。阪東訛ばんどうなまりの雑つた蛮音ばんおんで、三戦連勝の勢に乗じ、がん/\と遣付やりつけたことであらう。もとより事実を陰蔽して白粉をけた談をするが如きことはあへてし無かつたらう。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
蘆茎をやがらとし、猟骨を鏃とし、その尖にくだんの毒をけて簳中に逆さまに挿し入れおさめ置き、用いるに臨み抜き出して尋常に簳の前端にめ着く。
その路に処々大木の皮摩損するものあり。土地の掘れたる処あり。これ土あるいは木脂を身にけて堅くするなり。
セイロンではカバラゴヤと呼び、今もそのあぶらを皮膚病に用い、また蒟醤葉きんまのはに少しけて人に噛ませ毒殺す。
人により好き嫌いあるべきも、香油質のやや粘ったもので、予自身は甚だ好きだったが、医者が頑癬たむしの異態だろうとて薬をけても今に全癒せぬが、香液は三年切りで出でやんだ。
ローマの婦女ことごとくその真似もならず、香具師の工夫で驢乳を脂で固めて鬢附油びんつけあぶらごとき板とし売った。タヴェルニエー説に、東欧のノガイ人は馬肉や馬脂を熱して金創にけ、神効ありというと。
煙草脂タバコやにくればづ。