おお)” の例文
あんな暗いじめじめしたところに居ながら、とあの細い茎や根のすみずみにまで行きわたって居る、生の力のおおきなのにびっくりした。
しかも——彼の先見や誠忠をもってしても——この危機を救うことができなかった。時代の力、おおきな大勢の推移、怖ろしいばかりである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その恋愛は先づ第一に自己の存在と他の人々の存在が真におおきく計りがたいものであるといふ感じを呼び醒ますものである。
恋愛と道徳 (新字旧仮名) / エレン・ケイ(著)
その櫟は普通に老樹と云われるものよりもぬきんでておおきく高く荒箒あらぼうきのような頭をぱさぱさと蒼空に突き上げて居た。
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
俗卑と凡雑と低吝とのいやしくもこれに入り込むことを拒み、その想いをおおいならしめ、その夢を清からしめよ。夢見ることをやめたとき、その青春は終わるのである。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
動くべき社会をわが力にて動かすが道也先生の天職である。高く、おおいなる、おおやけなる、あるもののかたに一歩なりとも動かすが道也先生の使命である。道也先生はその他を知らぬ。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何物にも煩はされず、おおきく、強く生きたいと云ふ事は、常に彼女の頭を去らぬ唯一の願ひであつた。その理想の生活が、ゴルドマンによつてどんなに強くはつきりと示された事であらう?
乞食の名誉 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
呂布の姿も、ひとたびこの馬上に仰ぎ直すと、日頃の彼とは、人間が変ったように、おおきく見えるのも不思議だった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おおいなる本の一つだ。夜、十二時すぎ、湯浅さん着。やっと、やっと。
おおきな大方針で祈請すべきではないかと思います。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「聡明なお方に似あわず、猜疑さいぎはおふかいと聞いています。おおきな人物にも、小さい愚は誰も持っているものだ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見ると、あの三百余名の浪人中に、ひとりのおおきな人物のいることが分った。それが存在する以上、内匠頭は死んでも、藩地は召上げられても、赤穂は滅亡したとはいえぬ
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だがおおきな人物は、どう呼んでも、依然、偉きな存在であることに少しの変りもなかった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
建武けんむの聖戦のかげにも、女性の力のどんなにおおきかったかということだ。小楠公を生み育てたのも夫人なら、良人おっとの正成公をして後顧こうこうれいなく忠戦させたのも夫人の内助だ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何を苦しんで今日まで、さかしらな顔してこのおおいなる大人おとなにたてを突いて来ただろうか。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北の政所まんどころもあるかなしかのように、淀君の勢力は、自然大坂城におおきなものとなった。
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まあよい。追々と、主従といったことになろう。藤吉郎がもそっとおおきくなればな」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恋のみが青春を燃やすものかは! ——時代は今、おおきなうしおの手を挙げて、世の若者輩わかものばらを呼んでいるのだ。路傍の花に眼をくれるな! 日を惜しめ、そしてこの潮に乗りおくれるな! と。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでいて、ろうの天井へいっぱいになるほど、おおきく見えるのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小心なと、反省もしてみるが、無視するには、義経の天質がおおきすぎる。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——そうだ、良人が仏と一体な心になるなら、自分も仏と一体にならなければならない。良人がおおきくなってゆくのに、自分が取り残されてはならない」持仏堂の御燈火みあかしの油を見まわって、彼女は
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老公のおおきなのみがよく無事に救い得たといってもいい。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——勝ちがたきは避け、勝ちやすきに勝つ。……これは兵法の当然だ。手段のためには、信義も何もないようだが、本来、われわれはもっとおおきな終局の目標へ向って戦っている筈である。私情の忍びがたきものも、そのためには、忍ばなければなるまい」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)