俺等おいら)” の例文
産後の肥立が成功すると、体のあぶらがすっかり脱けて、却って別嬪になるそうだからな。ところが不幸にもあの時分、俺等おいらはヤケに貧乏だったものさ
隠亡堀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「文吾はん、杉の屋の風呂のつめ拔いて來て呉れんかい。俺等おいらが行くと目立つさかい、お前なら丁度よい、早う/\。」
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「何だ! 二等客だと思って威張るない。こんなさいに二等も三等もあるものか。俺等おいらは焼き出されだ。二等の賃金を払う余裕があるなら罹災者に義捐しろ」
震災後記 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
「やかましいやい毛唐め、俺等おいら拳骨メリケン壮太さまだ。サルビヤ号でくらった拳骨メリケンの味を忘れやがったか」
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
これだけは俺等おいらが入用だから貰って行くと言って喰物もすっかり取ってしまいました。ちっとも失くなってはこっちが困りますから少し貰わなくちゃならんと思いました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
売る者は売れ、俺等おいらは売らぬ、とまして居た反対がわの人達も、流石さすがおこり出した。腰弁当、提灯持参、草鞋わらじがけの運動がはじまった。村会に向って、墓地ぼち排斥はいせきの決議を促す申請書を出す。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
……うでえ、昨夜ゆうべの、あの椋鳥むくどり畜生ちくしやうさわかたは——ぎやあ/\、きい/\、ばた/\、ざツ/\、騷々さう/″\しくつて、騷々さう/″\しくつて。……俺等おいら晝間ひるまつかれてるのに、からつきしられやしねえ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それをみるのが俺等おいらはどんなにうれしかつたか
日暮になつたら?……俺等おいらけへらア
俺等おいら主人あるじの石神様の
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
それ、おめえさんもご存知の通り、おそで許婚いいなずけ佐藤与茂七さとうよもしち其奴そいつを私が叩っ切り、かたきの目付かる其うち中、俺等おいらの所へ来るがいいと、斯う云ってお袖を連れて来たんでしょう。
隠亡堀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
俺等おいらはたのしい逢引をしたもんだ
そぢやないか、俺等おいらは行かうぜ
俺等おいらの主人の石神様は
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「殿様に二人あるものか。俺等おいらのご主君は犬山の御前さ」
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)