修行者しゅぎょうじゃ)” の例文
えらいのは、旅の修行者しゅぎょうじゃ直伝じきでんとあって、『姑蘇啄麻耶啄こそたくまやたく』とじゅして疣黒子いぼほくろを抜くという、使いがらもって来いの人物。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
武芸の道が何よりもおすきでなア、先年此の常陸ひたち土浦つちうらの城内へお抱えに成りました者が有りまして、これは元修行者しゅぎょうじゃだとか申す事だが、余程よっぽど力量の勝れた者で
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今日きょう御苦労ごくろうであるが、わしのところの修行者しゅぎょうじゃひとあめらせる実況じっきょうせてもらいたいのじゃが……。』
阿波屋さんの皆さんが着くほんの四半刻よはんときほど前でしたよ、深い饅頭笠で顔を隠した、腰法衣こしごろも修行者しゅぎょうじゃが訪ねて来て冠物のまま阿波屋の使いの者だがと私を呼出し
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
みちまよったたび修行者しゅぎょうじゃでございますが、三にんのうち二人ふたりまで仲間なかまをなくしてしまいました。」
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこへ京の修行者しゅぎょうじゃ修行しゅぎょうして廻って行ったところが、右の浮浪の長は、汝も浮浪人だからおれ手下てしたになって運上を出せよと云って、ひどくこれを痛めつけたことが見えております。
修行者しゅぎょうじゃが、こんな孤家ひとつやに、行暮ゆきくれて、宿を借ると、承塵なげしにかけた、やり一筋で、主人あるじの由緒が分ろうという処。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何うしたら宜かろうと只浅間山を多勢おおぜいで取巻いて居るだけじゃが、肝腎の彦五郎は裏穴から脱けて、相変らず人を殺したり追剥おいはぎるので、これにはほとんど重役が困っている所に、一人の修行者しゅぎょうじゃが来て
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
気がつくとその頃の俳諧の修行者しゅぎょうじゃは、年紀としにかかわらず頭を丸めていたのです——道理こそ、可心が、大木の松の幽寂に二本、すっくり立った処で、岐路わかれみちの左右に迷って、人少ひとずくなな一軒屋で
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)