何時いつし)” の例文
大友とおしょう何時いつしか寄添うて歩みながらも言葉一ツ交さないでいたが、川村の連中が遠く離れて森の彼方で声がする頃になると
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
くしじようさまにもぞおよろこ我身わがみとても其通そのとほりなり御返事おへんじ屹度きつとまちますとえば點頭うなづきながら立出たちいづまはゑんのきばのたちばなそでにかをりて何時いつしつき中垣なかがきのほとりふきのぼる若竹わかたけ葉風はかぜさら/\としてはつほとゝぎすまつべきなりとやを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
無我夢中で其処そこらを歩いて何時いつしか青山の原に出たが矢張やはり当もなく歩いている。けれども結局、妻に秘密を知られたので、別に覚悟も何にも無いのである。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「なに、どうせ二晩三晩は宿泊とまるのですから急がないでもいのです。」と平気で盤に向っているので、紳士しんしもその気になり何時いつしかおしょうの問題は忘れて了っている。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
漠々然ばく/\ぜん何時いつし義母おつかさん自分じぶんうつつて流動ながれ次第々々しだい/\にのろくなつてくやうながした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
然し何時いつしか自分の挙動で箪笥の中に秘密のあることをすいし、帳簿を取りに寄こされたをさいわいに無理に開けたに相違ない。鍵は用箪笥のを用いたらしい。革包の中を見てどんなにか驚いたろう。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)