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しんちやう
勘次は
矢立の
如き
硬直な
身體を
伸長し
屈曲させて一
歩/\と
運んだ。
彼は
周圍に
無數な
樹木の
泣いて
囁くのを
耳に
入れなかつた。
加之彼は
自分の
耳朶に
鳴るさへ
心づかぬ
程懸命に
唐鍬を
打つた。
粗剛な
厚い
皮の
圍みから
遁れて
爽快な
呼吸を
仕始めたことを
悦ぶやうにずん/\と
伸長して、
遂には
伐つても/\、
猶且ずん/\と
骨立つて
幹が
更に
形づくられる
程旺盛な
活力を
恢復するのである。