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仄暗
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ほのくら
ふりがな文庫
“
仄暗
(
ほのくら
)” の例文
が、すぐ町から小半町
引込
(
ひっこ
)
んだ坂で、一方は畑になり、一方は宿の
囲
(
かこい
)
の石垣が長く続くばかりで、人通りもなく、そうして
仄暗
(
ほのくら
)
い。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
師父ブラウンが
仄暗
(
ほのくら
)
い
樹苑
(
じゅえん
)
を通って
城影
(
じょうえい
)
の下に来た時、空には
厚雲
(
あつぐも
)
がかぶさり、大気は湿っぽく雷鳴が催していた。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
肉眼では人の顔も
仄暗
(
ほのくら
)
くハッキリ見別けのつかぬような状態であったが、この赤外線テレヴィジョンに映るものは、殆んど
白昼
(
はくちゅう
)
と変らない明るさであった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
神父は
厳
(
おごそ
)
かに手を伸べると、後ろにある窓の
硝子画
(
ガラスえ
)
を
指
(
さ
)
した。ちょうど薄日に照らされた窓は堂内を
罩
(
こ
)
めた
仄暗
(
ほのくら
)
がりの中に、受難の
基督
(
キリスト
)
を浮き上らせている。
おしの
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
越え
千年
(
ちとせ
)
経
(
ふ
)
る 宮居が址に なづさへば
念
(
も
)
ひのことごと よろづ代に
念
(
も
)
ひ
告
(
の
)
らすごと
仄暗
(
ほのくら
)
の 高どのぬちに
霊
(
くす
)
しくも 光りいませる
救世
(
くせ
)
のみほとけ
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
▼ もっと見る
透きとおる程に洗練された純美な調和を表現している美人の
剥
(
む
)
き
身
(
み
)
が、少しずつ少しずつ明るみを失って、
仄暗
(
ほのくら
)
く、気味わるく変化して、
遂
(
つい
)
には浅ましく
爛
(
ただ
)
れ破れて
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
逢魔
(
おうま
)
ヶ時
(
とき
)
という海の夕暮でした。ぼくは電燈もつけず、
仄暗
(
ほのくら
)
い部屋のなかで、ばかばかしくもほろほろと泣いてみたい、そんな気持で、なんども、その
甘
(
あま
)
い歌声をきいていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
仄暗
(
ほのくら
)
い杜を出ると、北上川の水音が俄かに近くなつた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
品夫は作りつけの人形のように伏せていた長い
睫
(
まつげ
)
を、静かに二三度
上下
(
うえした
)
に動かすと、パッチリと眼を見開いた。そうして黒い瞳を
空虚
(
うつろ
)
のように
瞠
(
みは
)
りながら、
仄暗
(
ほのくら
)
い座敷の天井板を永い事見つめていた。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仄
漢検1級
部首:⼈
4画
暗
常用漢字
小3
部首:⽇
13画
“仄”で始まる語句
仄
仄白
仄明
仄聞
仄々
仄見
仄青
仄赤
仄筆
仄紅