交互こうご)” の例文
飛行機全台数二千機中六百台の偵察機は各母艦より飛翔ひしょうして輪形陣の進航前方を、交互こうご警戒し、時速三十キロにて北西に向い航行中なり……
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
女の子供などは往々おうおうそのくき交互こうごに短くり、皮でつらなったまま珠数じゅずのようになし、もてあそんでいることがある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「四番、もっと手を振って」と注意され、ぼくは勢いよくうでを振り上げようとすると、可笑おかしなことに、手と足と一緒いっしょに動き、交互こうごにならないのです。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
霧島火山きりしまかざんはこのふたつの活火口かつかこう交互こうご活動かつどうするのが習慣しゆうかんのようにえるが、最近さいきんまでは御鉢おはち活動かつどうしてゐた。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
読みくだしてゆくうちに、伊那丸の目はいっぱいななみだになった。義憤ぎふん悔恨かいこん交互こうごほおあつくした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
にがくなったり、あまくなったり、交互こうごにくり返すようになっているのだ。ところで、三どめににがくなってきたとき、久助君はもういやになって、はき出してしまった。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
霧が雨になり、雨が霧になり、雨と霧が交互こうごにたわむれて半天にかけまわれば、その下におどる白泡しらあわ狂瀾きょうらんがしだいしだいに青みにかえって、船は白と青とのあいだを一直線にすすむ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ふたつの疑問が交互こうごにあらわれたり消えたりしたが、ふたりはともかくくるいつづけた。
久助君の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ピストルは小山すみれと美貌びぼうの青年とに交互こうごに向けられている。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)