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亡夫
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ばうふ
不義の
女房并に伯父九郎兵衞へ能く分て遣はせしぞ
伯父は母方か
父方かと問はるゝに九助こたへて
亡夫九郎右衞門まで七代の間水呑村
名主を
君子が
不審しさに
母親の
容子に
目をとゞめた
時、
彼女は
亡夫の
寫眞の
前に
首を
垂れて、
靜かに、
顏色青褪めて、
身じろぎもせず
目をつぶつてゐた。
仕つり九郎兵衞は九郎右衞門の
弟なれ共一
體若年よりといはんとせしが伯父の
讒訴は如何とぞ心ろ付
亡夫の
勘當を受け十七年の間
相摸國御
殿場村に居りしを私し親共死去の
節戒名を
それからまた
彼女は、
自分自身のことよりも、
子供の
行末を
計つたのだつたといふ
犧牲的な(
自ら
思ふ)
心のために、
自ら
亡夫の
立場になつて
自分の
處置を
許した。
結極男の
不徳な
行爲が
責められた。