ゐど)” の例文
君が御名みなさちの井の、ゐどのほとりの常磐木ときはぎや、落葉木らくえふぼく若葉わかばして、青葉あをばとなりて、落葉おちばして、としまた年と空宮くうきうに年はうつりぬ四十五しじふいつ
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ゐどの上には椿の木立が一杯に花を著けて居て、水に浮いてゐる落椿もありました。この光景を見て、詩的な、いろいろの想像が私達の心に上りました。
初島紀行 (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
建物の中にとりこめたるは、あらずもがなと思へど、昔のガリラヤ街道も此辺このへんを通りしと云へば、ゐどそのものは昔より云ひ伝へしヤコブの井たることうたがひなし。
どの運河カナルの水も鏡のやうに明るくてゐどのやうに深く、その上に黄いろくんだ並木や、淡紅うすあかく塗つた家の壁や、いろいろにいろどつた荷船にぶねやが静かに映つて居るのを見ると
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
路の傍に田舎ゐなかには何処にも見懸ける不潔な肥料溜こやしだめがあつて、それからまきを積み重ねた小屋、雑草の井桁ゐげたの間に満遍なく生えて居る古いゐど、高く夕日の影に懸つて見える桔※はねつるべ、猶その前に
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
ゐどはたより出でゝ、境内カヤツリ草の離々りゝたる辺にたたずみ、ポッケットより新約聖書取り出でゝ吾愛する約翰よはね伝第四章を且読み且眺む。頭上には「此山」ゲリジムの山聳ふ。