乳呑子ちのみご)” の例文
抱上いだきあげ今日より後は如何にせん果報くわはうつたなき乳呑子ちのみごやと聲をはなつてかなしむを近所の人々聞知りて追々おひ/\あつまり入來りくやいひつゝ吉兵衞に力を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この暑いのに、余り好きでない乳呑子ちのみごを縛りつけられて、そして勝ち誇ったクィーンのような女の尻にくッついて行くなんて!
乳呑子ちのみごのともし火を見て無邪気なる笑顔をつくりたる、四つ五つの子が隣の伯母さんに見せんとていと嬉しがる木履ぽっくりの鼻緒、唐縮緬とうちりめんの帯、いづれ赤ならざるはあらず。
わが幼時の美感 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「お長屋へあの乳呑子ちのみごを見に行くと言っておいて、お前は時々、駒井様のお邸へ遊びに行くそうな」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わかるだろう?——どうして、わたしがお前さんと同じように辛抱づよくなれるかってんだ——世帯も持ってなけりゃ、亭主もなけりゃ、乳呑子ちのみごだってないお前さんのようにさ。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
◎これはちと古いが、旧幕府の頃南茅場町みなみかやばちょう辺の或る者、乳呑子ちのみごおいて女房になくなられ、その日稼ぎの貧棒人びんぼうにんとて、里子に手当てあても出来ず、乳がたりぬのでなきせがむ子を、もらちちして養いおりしが
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
ゴロツクは脅迫きょうはくの意味そうな。乳呑子ちのみご連れたメノコが来て居ると云うので、二人と入れ代りに来てもらう。眼に凄味すごみがあるばかり、れい刺青いれずみもして居らず、毛繻子けじゅすえりがかゝった滝縞たきじま綿入わたいれなぞ着て居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
乳呑子ちのみごの耳の早さや雉子の声 りん女
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
乳呑子ちのみごへる少女をとめ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
一人の乳呑子ちのみごをつれていた。