串談じやうだん)” の例文
「ほんとに串談じやうだんぢや無いよ。斯ういふことが有るが奈何どうだい——心を起さうと思へば、先づ身を起せツて。それだ。」と言つて叔父さんは熱心に姉妹きやうだいの顔を眺めて
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
馬鹿ばかさわぎもせねば串談じやうだんも三ちやんのやうではけれど、人好ひとずきのするは金持かねもち息子むすこさんにめづらしい愛敬あいけうなん御覽ごらんじたか田中屋たなかや後家ごけさまがいやらしさを、あれでとしは六十四
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
叔父さんは斯様こん串談じやうだんを言ふかと思ふと、急に調子を変へてお節の方へ切込んで来た。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
貴君のお顔を見てゐますのさと言へば、此奴こやつめがとにらみつけられて、おおこわいお方と笑つてゐるに、串談じやうだんはのけ、今夜は様子が唯でない聞たら怒るか知らぬが何か事件があつたかととふ
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
貴君あなたのおかほますのさとへば、此奴こやつめがとにらみつけられて、おゝこわいおかたわらつてるに、串談じやうだんはのけ、今夜こんや樣子やうすたゞでないきいたらおこるからぬがなに事件じけんがあつたかととふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と叔父さんが混返まぜかへすやうな調子で言つて、みんなの前でつたのは変な紅い色の裏地だ。番頭まで笑つた。斯の叔父さんの串談じやうだんに、お節は胸が一ぱいに成つて独りで次の部屋の方へ逃出して了つた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
どうかすると私は斯樣な串談じやうだんをして、子供を相手に遊び戲れます。斯ういふ私を生んだ父は奈樣どんな人であつたかと言へば、それは嚴格で、父の膝などに乘せられたといふ覺えの無い位の人でした。