中津川なかつがは)” の例文
大井おほゐ中津川なかつがはの諸驛を過ぎて、次第に木曾の翠微すゐびちかづけるは、九月もはや盡きんとして、秋風しうふう客衣かくいあまねく、虫聲路傍に喞々しよく/\たるの頃なりき。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
挨拶あいさつしました。美濃みの中津川なかつがはといふまちはうから、いろ/\なもの脊中せなかにつけてれるのも、あのうまでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この能役者のうやくしやは、木曾きそ中津川なかつがは避暑中ひしよちうだつたが、猿樂町さるがくちやう住居すまひはもとより、寶生はうしやう舞臺ぶたいをはじめ、しば琴平町ことひらちやうに、意氣いき稽古所けいこじよ二階屋にかいやがあつたが、それもこれもみな灰燼くわいじんして
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
付けて中津川なかつがはより來りし馬二頭ありしを幸ひこれに乘る元より駄馬なれば鞍も麁末そまつに蒲團などもなし宿の主才角さいかくしてうしろより馬の桐油とうゆをかけて我々を包む簑虫の變化ばけものの如し共に一笑してこゝ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
かくてかの中津川なかつがはきしにいたれり。
それは美濃みの中津川なかつがはといふまちはうから翫具おもちや商人あきんどときに、祖母おばあさんがつてれたものでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)